第4話 迷惑だなんて

2人は夕飯まで時間があるのでリビングでやったりしていた。

「うーん暇だな、歩美はなんかしたいことないか?」

「う〜ん、じゃああれしたい!」

歩美が指さしたのはゲーム機だった。この感じだとゲーム機もしたことがないらしい。

「じゃあやるか!どんなのがやりたい?」

「う〜ん、、これ!」

歩美が選んだのは格闘ゲームだった。

「初心者には大分ムズいと思うが大丈夫か?」

「任せて!うちはどんな事でもすぐできるようになるから!!」

自信満々な歩美はコントローラーを握った。

「おーいコントローラー逆向きだぞー」

ほんとにゲームがしたことないらしい歩美はコントローラーを逆向きに持っていた。

(コントローラーの握り方すら知らないのは大分だな、、)

「ほら、こうやって持ってAボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃、Rボタンでガードだ」

「なるほど!えーと、Bボタンでジャンプ?」

「Aボタンでジャンプな」

「できたできた!」

ジャンプですら喜んでる歩美がまるで小学生のように見え、頭を撫でそうになったがギリギリで思いとどまった。

「ほら、Bボタンで攻撃して」

「こう?」

「そうそう、そして俺が攻撃したらその攻撃をRボタンでガードするんだ」

「こんな感じ?合ってる?」

「いいね、才能あるんじゃないか?」

「へへ〜ん」

調子に乗り始めた歩美はそのまま佑に対戦を求めた。

「手加減なんてしなくていいからね!本気で来てよ!」

「わかった、歩美がその気ならこっちも本気でやってやろう。」

『レディー、ファイト!』

その合図とともに佑は容赦なくコンボ攻撃を繰り出し、開始10秒経たずに歩美は撃沈した。

「え?もう終わり?うち負けたの?」

「ああ、俺の勝ちだ」

「強すぎでしょ!ガチ勢じゃん!」

「まあな、毎日欠かさずやってるからな」

「もっかい!もっかいやろ!」

そうして2人は何十回と対戦したが、歩美が勝つことはなかった。

遊び尽くした2人は夕食にすることにした。

「夜ご飯は任せて!目が飛び出るくらいの美味しい料理作ってあげるから!」

「ああ、朝ごはんも美味しかったし、期待して待ってるぞ」

そうして歩美は手際よく料理を始めた。とてもいい匂いがしてきて佑の腹減りゲージはマックスになっていた。

「はい!できた!オムライスだよ!」

「おお!すごいな!」

そこにあったのはものすごくトロトロで店でも出てきそうな感じのオムライスだった。

「俺オムライス大好きだから嬉しいよ」

「そう?それなら良かった!」

「じゃあ早速頂くわ」

そうして佑は、オムライスを口に運んだ。

「!!」

口に入れた瞬間卵がとろけ、ケチャップの旨みとご飯が合わさり最高の美味しさだった。

「まじで美味いわ、こりゃ目も飛び出るわ」

「でしょ?うちの1番得意な料理だからね!」

そして佑はあっという間にオムライスを完食した。

「はあー美味かったー、ありがとな歩美」

「どういたしまして!」

夕食を食べ終えた2人はリビングに戻りまた話をすることにした。

「今日はありがとね、めっちゃ楽しかった」

「そりゃ良かった」

「佑はほんとにこのままうちがこの家にいてもいいの?」

「ああ、いいさ。俺も友達少ないし1人だと退屈だしな、誰かいてくれるのはありがたいよ」

「そう?ほんとに?迷惑だとか思ってない?」

「思ってない。昨日会ったばっかりだけど、そうとは思えないくらいに楽しかった。これからも一緒にいたいって思うよ」

「何それ告白?」

歩美はニヤつきながら言った。

「ち、違うわ!友達としてな!」

「ふ〜ん」

「だ、だからさ、歩美が1人でやって行けるようになるまで俺もお供してやるからさ」

「1人でやって行けるようになるまで?」

「ああ、お前がもう俺を必要ないと思ったらいつでも出ていってくれていい」

「、、もしお嫁さんになったら、、」

「ん?なんか言ったか?」

「ううん!なんでもない!これからもよろしくね!佑!」

そして2人は熱い握手を交わした。

(あれ?うちさっきなんて言った?お嫁さん?いやいや!まだ会って2日目の人に恋心抱くとかほんとに軽い女みたいじゃん!)

歩美はそう思い少し恥ずかしくなった。しかしそれと同時に歩美はある決断をした。

(うちはこの人の為に生きる。この人と一緒に生きたい)

歩美にとってのこの2日間は、そう思わせてくれるほどにとても濃い2日間だった。

「おーい歩美ー、大丈夫かー」

「あ、ああ!ごめんごめん!考え事してた!」

「そうか、今日は疲れたしもう寝るか」

「そ、そうだね!」

「じゃあ布団持ってくるから歩美はちゃんとそこで寝るんだぞ。くれぐれもソファーに来て添い寝したりすんなよ」

「佑はまだソファーで寝るの?」

「それしか寝る方法ないしな」

「それじゃ!一緒に寝ようよ!ほら!ずっとお供してくれるって言ったじゃん!」

「それはそうだがそうはならんだろ!」

「ぐすんぐすん、、一緒に寝てくれないんだ、、ぐすんぐすん」

歩美はとてもわかりやすい嘘泣きをした。

「わかったよ、一緒に寝ればいいんだろ?そのかわりくっついたりすんなよ?俺も男なんだから」

「わかってるわかってる!じゃあ一緒に寝よ〜!」

そうして2人は長い1日を終え布団に入った。案の定寝ぼけた歩美に何度も抱きつかれたりしたが、紳士の心で何とか耐え抜いた。そうして色々あった1日、たった1日であるが、2人の中には強い絆が結ばれた。佑と歩美、2人のはちゃめちゃ同居生活はまだまだ続く。

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