書かないうまさ

遺伝子操作でペット化された人間の扱いを通して差別について理解する話

この話は恐らくあえて大切な部分が書かれていない。洪水にフォーカスすることでペット人間がどうやって産まれてどう言う風に暮らして死ぬのかがわからないところが読みをおもしろくも難しくもしている。

ペット人間は母親のお腹から出てくるのだろうか?誰かが生殖活動をして血を流して産まれる人間を何かの基準で奪いペットにしてしまうのだろうか?それとも種として区別されていてアンジュのように会話できる知能のある繁殖人間を犬猫のように扱って繁殖所で増やすのか?または人工子宮で産まれるのだろうか?

また美しさを強調されている若いペット人間が年老いて醜くなった時にどうなるのだろうか?

ペット人間の年齢が何度か書かれていて加齢を意識させているように思う。12歳の美しいペットと18歳の青年の暮らし。それから彼女の寿命は何歳なのだろうか?または何歳まで生きさせてもらえるのだろうか?

本来最も最初に確認すべきことを書かずそういうものだと読ませてしまう。そうすることで現実の世界でも書かれていない恐ろしいことが起きていて、差別やペットの酷い扱いってそういうところから始まるのだというような訓話なのかと感じました。

読みによって大きく価値の変わる難しくもおもしろい話です。