第4話
廊下に逃げようとしたサミの足首を掴むと、きれいにうつ伏せで倒れた。顔を向けると鼻血が垂れ、前歯が折れている。
上あごを掴み、無理やり立たせてからもう一度転ばせた。三十回ほど繰り返すと、鼻の原型はなくなっていた。歯も前歯、犬歯はすべて折れ、ハナ以上に醜い歯の形になっていた。
「なんなの、なんで……」
サミがつぶやくような独り言をこぼしたあと、髪の毛を引きちぎった。ブチブチと手のひらに伝わる感触が楽しい。わざと少なめにして引きちぎり続けた。夢中になって続けて五男いつの間にか、落ち武者のように頭頂部がなくなっており、はた目には誰かわからないようになっていた。
さすがに髪の毛を抜くのも飽きて、抜いた髪の毛はすべてサミの口に放り込んだが、一気に嘔吐してしまった。吐瀉物ごとすくいとってもう一度サミの口に入れるが、またすぐに戻す。美里は何度も繰り返し口の中に髪の毛と吐瀉物を入れた。途中で髪の毛に床に舞う埃が絡まり出した。
こんな汚らしい奴らが私を死に追いやったのか――
そう思っただけでさらに負の感情が魂の奥からせり上がってくる。サミの腹に手をかざすと、そのまま腹に入れることができた。切れ目はなくとも痛い様子である。臓器を掴んで引き抜くと、赤黒い腸がずりずりと出てきた。途中で引きちぎるとサミの悲鳴が廊下に響き渡った。引き抜いた腸をどうしようか考えているとサミの口から泡が出てきた。とっさに腸を口の中に入れると茶色い大便らしきものが溢れてくる。口周りが黒く染まっていき、強烈な悪臭が充満し始めた。
私は水道のホースをサミの肛門に入れ、水道を限界まで捻ると、サミの身体はぶくぶくと膨れ上がった。妊婦をはるかにしのぐ旗の大きさになったとき、高音の破裂音がし、肉が飛び散った。大量の血液が水と混じって廊下の床に流れていく。もうサミの意識はなかった。
すうっと体が軽くなることに気づいた。恨みという感情はもう残っていない。三人の汚い死体を見るとむしろ快感が胸の中に広がった。
死後の復讐 佐々井 サイジ @sasaisaiji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます