佐々井 サイジ

黒田美穂は年末年始の帰省中、母のこめかみに現れた異様な老人斑に気づく。その染みは徐々に大きくなり、人の顔のような形を浮かび上がらせた。同時に、母の体調は悪化の一途をたどり、美穂は…

30歳の佐々木は、自身の死が数日後に迫っていると告げる奇妙な男に出会う。彼の名は木村。死を目前にした者に寄り添い、極楽への道を案内する存在だという。信じがたい予言が的中し、佐々木…

「再犯者の再生は不可能だ」との声が高まる中、政府は「人権剥奪法」を施行した。誹謗中傷など悪質な犯罪者には「人非人」の烙印を刻み、社会から完全に排除するという新たな制裁。 40代…

冬の帰省の日、広田家に現れた娘の婚約者・竹中。しかし彼は、1年前の交通事故で亡くなったはずの青年だった。穂乃花への変わらぬ愛を胸に、成仏せずに現れた彼は、「娘さんを僕にください」…

夜空を見上げると、月が巨大な人間の顔に見える奇妙な現象が発生する。最初はSNSで拡散される都市伝説として話題を集めたが、顔月はその存在感を増し、ついには日常の一部となっていった。

死刑制度と並行し、新たに「拷問刑」という刑罰が導入された社会。 人を殺しながらも死を望んでいないと偽り、死刑を目指した田崎は、自らの行動が裏目に出て拷問刑に処される。冷酷な刑務官…

幸奈は約束したはずの彼氏・浩平が応答しないアパートのドアを合鍵で開ける。しかし、そこで目にしたのは、安らかに眠る浩平の体から突き出た顔だった。

13歳の晃は、長年いじめを受け、死さえも考える日々を送っていた。ある日、祭りで出会ったのは、異様な存在「死神」。彼は晃に「お前の体を貸してくれ」と取引を持ちかける。生きる希望を失…

大学生の幹也は、冷えた体を温めるためエレベーターを待っていた。しかし、静かな夜に響く複数のざわめき声が不気味さを増していく。エレベーターの扉が開くと、中には見知らぬ青白い顔の人々…

15歳の不良少年・大樹とその仲間たちは、夜の公園で遊んでいる時に女子トイレの壁に弱々しく書かれた「たすけて」という文字を発見する。軽い気持ちで笑い飛ばした彼らだったが、翌日、仲間…

ある日、主人公・大本重徳のもとに一通の手紙が届く。差出人は、かつて彼の手によって命を奪われた小芝智也。亡霊となった小芝は、手紙を通じて恐怖と復讐の序章を告げる。後悔と不安に苛まれ…

雨の季節、駅とショッピングモールを繋ぐ道には色とりどりの傘が吊るされ、訪れる人々の目を楽しませていた。そんな賑やかな通りを進み、短冊が飾られた笹の前で、北野は一人の少年と出会う。…

大量殺人を犯し、懲役300年を宣告された楠本幸人は、日々の努力で刑期を乗り越え、200年ぶりに社会へと戻る。老いを知らず、圧倒的な肉体と精神力で生き抜いた彼を待っていたものとは……

和中は、4歳の息子、廉が語った「十歳になったら死ぬ」という不気味な予言を気にしながらも、幼い子供の無邪気な言葉だと思っていた。しかし、十歳の誕生日を迎えた直後、廉は交通事故で命を…

田舎の駅にある錆びたコインロッカー。その一つだけは開かずのまま、鍵も抜かれている。そのロッカーには不気味なお札が貼られ、地元では長年恐ろしい噂が囁かれていた。ある夜、大学生の凌太…

お盆休みに家族と共に実家へ帰省した酒井は、幼い頃に友人を亡くした池を訪れる。かつてその池で起きた悲劇が、今も彼の心に影を落としていた。

人生の最後に、成仏することができなかった小坂は「未練消化センター」の案内で、俗世に残る未練を清算するチャンスを得る。元恋人と親友への深い恨みを晴らすため、彼は呪いの力を借りて復讐…

赤ん坊の手術を待つ北瀬は、PICU近くの面談室で一人、不安と戦っていた。夜が深まり、病院が静寂に包まれる中、ふとすりガラス越しに女性の影が往復するのを目撃する。しかし、病院は既に…

彩佳は、4歳の娘・千奈と穏やかな日々を送っていた。ある日、保育園の掲示板に「猿出没注意」の張り紙を見かけたのをきっかけに、彩佳の生活は一変する。日常の中にひそかに現れる不気味な影…

マンションの蛍光灯が次々と点滅し、その部屋の住民が不気味な形で命を落としていく。若い会社員の歩美は、最初は他人事のように感じていたが、次第に事件の恐怖が彼女の身近に迫ってくる。

大学生活に孤独を感じていた土本は、ふとしたきっかけで古本屋で買った小説に没頭し始める。手に取った一冊が、ホラー小説『臆病者の首』。だが、その本には不気味な鉛筆の印があり、土本は文…

幼い娘の瑠璃が突如として語り出した言葉に、父・磯川は戦慄する。「私だよ、杏奈だよ」。それは、磯川がかつて関係を持ち、見捨てた後輩・本宮杏奈の声だった。杏奈は自ら命を絶ち、今では瑠…

フメブト星人の少年キュピラは、母と共に「テテコマシ市立人間園」を訪れる。この園では、地球から連れてこられた様々な人種の人間が、動物園のように展示されている。キュピラは人間に対する…

主人公は仕事帰りの蒸し暑い夜、自転車を漕いでいる途中で、近所のママ友・坂田と出会う。彼女は大きな黒い袋を手にしていて、スイカを運んでいると言う。しかし、坂田の様子はどこか奇妙だ……

ある日、主人公の脇野は道端で倒れた男性を助けるために必死の救命処置を試みる。しかし、突如現れた謎の応援団が彼の背中を押し始める。それは単なる声援なのか、それとも異様なエネルギーを…

浩輔は、SNSで元恋人・美奈穂のアカウントを毎日チェックする日々を過ごしていた。ある日、高校時代の美術教師・岡崎と再会し、飲みに行くことに。岡崎の異様な行動に違和感を覚えつつも、…

エイプリールフールに、知ったかぶりで仲間内から疎まれていた和野に嘘を仕掛けることを計画した長岡たち。しかし、悪ふざけで始めたその嘘は、次第に予想外の展開へと転がり、誰も想像しなか…

主人公は幼少期から昆虫を解剖し、その内部を観察することに興味を持っていた。大人になった彼は、職場で上司からの不当な扱いに耐えていたが、ついにその不満が爆発する。

国道沿いの空きテナントに毎夜現れる不気味な男に怯える佐島。男は徐々に異常な行動を見せ、ついには佐島の車に乗り込んでくる幻影が現れる。恐怖と不安に追い詰められた彼は、逃れられない悪…

新しく引っ越してきた隣人家族は、四人家族というが、一歳の息子がなかなか姿を現さない。

世界的な食糧危機が発生し、人々は極度の飢餓に苦しんでいる。主人公の男も例外ではなく、支給されるわずかな食糧では飢えを凌ぐことができない。そんな中、彼は妻の萌香と共に日々を過ごして…

崎山は大学時代の友人、大原と橋本と再会するため、大原の自宅に向かう。しかし、電車の遅延で到着が遅れた崎山が目にしたのは、衝撃的な光景だった。

個別指導塾の教室長として働く島本は、残業中にビルの自動シャッターが降りて閉じ込められる。奇妙な出来事が続き、不気味な存在に追い詰められる島本。彼は脱出を試みるが、次々と襲いかかる…

伊藤五郎は妻を失い、一人娘も独立して孤独な生活を送っていた。彼は友人の矢島に誘われ、会社の庭の手入れを始める。ある日、見知らぬ男に花の名前を尋ねられるが答えられない。その後も毎日…

ある日、横江が玄関を出ると何かを踏んだ感触がした。それはカタツムリだった。

第二子を身ごもる妻を大学附属病院に連れて行った。エコー検査を受けている間、廊下で息子の面倒を見ているが油断した隙に走っていき、なぜか尻もちをついていた。

小学一年生の駿斗は入学したときから教室の後ろでずっと立っている少女のことが気になっていた。話しかけてみても反応がない。駿斗と違う保育園出身の子に訊いてみると、誰もその子を見つける…

道連れな。

Y子は小学生の頃、クラスでも人気の女の子だった。しかし卒業間際にY子は転校となり、そこから中学生にかけていじめられるようになってしまう。Y子と関係の人々に話を聞くと、「ガガンボ」…

「おはようございます」とあいさつすれば「こんばんは」と返ってくる。 「お疲れ様」とあいさつすると「元気野郎」と返ってくる。

歩行もままならないくらいの発熱で僕は会社を休む羽目になってしまう。途中の仕事を同期の市井さんに任せ、妻の帰りを待ちながら、ソファーで寝てしまった。お昼に起きると妻が一時的に帰って…

美佐子には90歳になる義祖母がいる。義祖母はSNSに写真を投稿するのが趣味で、なんでもかんでも写真に収めるのを美佐子は疎ましく思っていた。ある日、美佐子の祖父が亡くなり、義祖母が…

休日にSNSを漂流していた鈴山は、名言屋というアカウントを発見する。五百円支払えば名言を一つくれるらしい。五百円なら詐欺だったとしても痛手ではないし、笑い話になるだろうと鈴山は購…

小学五年生の勇太は無類の生き物好きであるが、対照的に生き物嫌いの母によって飼育することを頑なに禁じられていた。そんなときに、近所の竹藪の中に誰もいない小屋を見つけ、勇太はそこで生…

卒業式を前日に控えた恵茉は、同じクラスの幹也から突然"陽介菌"と言って手を机に擦りつけられた。菌の元である陽介は教室の隅の席で突っ伏していた。小学二年生のころから始まった陽介への…

僕は満員電車の中で軽く痴漢を嗜んで降車したあと、強烈な便意に襲われてトイレに駆け込んだ。無事に用を済ませ、トイレットペーパーで拭いていると、途中でなくなってしまい予備もないことに…

佐奈は同じクラスの山岸に好意を寄せていた。古典の授業で「昔の人は、夢に誰かが出てくるとその人が自分のことを思っている」ことを聞き、山岸も自分のことを思ってくれていたらなとぼんやり…

昔から僕は影が薄かった。僕がいないことに誰も気づかない。いても気づかない。だから僕は。