初夏
隣
さあ、旅に出よう
最近知った言葉の中で一番印象に残ったものがある。
それは「自分探しの旅」。
今年、私は高校生になった。
私は中学校のころに友達とあまりうまくやっていくことができなかったため、高校はあえて友達がいないところを選択することにした。
一から関係を築いていって、新しい友達を作り、楽しい学校生活にしようと思っていた。
しかし、世界はそんなに甘くない。
中学校のころにうまくやっていけなかった人間が、高校に入ってうまくやっていけるわけもなく、しっかり孤立した。
そんなとき、この言葉を知った。
学校が始まってから五か月が経ち、夏休みになった。
きっと今頃、友達と遊んでいたり、家族と出かけている人もいるんだろうなと思いながら、私は「自分探しの旅」に出ることにした。
といっても家を出るのは好きではないので、あえてインターネットを使い、「自分探しの旅」をすることにした。
高校生活での漠然とした不安を少しでも和らげられるように、自分に言い聞かせることのできるおまじないを探すことに決め、私はパソコンを開いた。
友達を作りたいというのもあったが、それよりも先に私には大きな問題があることに気が付いた。
それは、人と話すことが極端に苦手であるということ。
それが克服できないと元も子もないのでそれに関するおまじないを探すことにした。
調べていくうちに私は一つ、この言葉はおまじないによさそうだなと思うものを見つけた。
その言葉は、
『ステージの上では自分が主人公』
思えば、今まで私は常に脇役だと思っていた。
だから私は人と話すことが苦手でも、友達とうまくいかなくても、何も思わずに平凡に過ごしていくことができたのだ。
この言葉を見つけたとき、自分もそうなりたいと思った。
それと同時に、私の世界は少しだけ色づいた気がした。
気が付いた時には、夏休みも終わりになりかけていた。
私はこの夏休みの「自分探しの旅」で多くのことを学ぶことができた。
そして、夏休み明け、学校に行くのが少し楽しみになった。
楽しみになったところで、思い出したことがある。
「夏休みの課題って終わってるんだっけ?」
初夏 隣 @kakukara
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