母さんは、僕が殺した。

アッシュ

第1話

◎あるところに小国の母子が居た。幼い息子は「母さんご飯ちょっとしか食べないね。 お腹が空かないの?」「母さんは痩せてると綺麗だからね」「うんだから母さん凄く綺麗なんだね 僕は何時もお腹空いてるんだ 」母は少し微笑み子を強く抱きしめた。母子の小国は、隣国に重い納税を強いられ国民は常に飢えてた。子供が若者になった時 隣国に2倍の納税を強いられた小国の長は苦悩の末に老人を乳母捨て山に捨てる命令を若者達に出した。息子も母親をおぶって山の捨て場に行っが足がなかなか前に出なかった。やっとついた捨て場は死骸や骨 異臭 虫の息の老人を貪るカラス。さながら地獄絵だった。それを見た息子は母を、人思いに殺す方が母が楽と思い短刀で母の心臓を刺したが刺し方が浅く母は苦しんだ。息子はもっと深く刺そうとしたがどうしてもそれ以上刺す事が出来なかった。母親は結局もがき苦しんで死んだ。息子は母を殺してから、苦しむ姿を何度も幻覚で見る様になった。よく動悸と息苦しさが息子を襲った。

その後間も無く隣国は大国に乗っ取られた。息子の国は納税から解放され普通の生活が可能となった。息子はパニック発作や幻覚と戦いながら働いた。

冷え込んだ冬の日のこと 息子は痩せた娘と出会った。

 1人暮らしの娘のボロ屋で2人は焼き芋を食べた。一緒に食べた芋は、とても美味だった。

 娘と同じ屋根の下で寝た夜、男と娘は深い深い眠りに落ちた。

2人は夫婦になった。夫婦は1人娘を授かった。妻は赤子育てに必死で夫は一緒になって育てた。

子がすやすや寝てる時夫が何時ものように、うなされてハッと目覚めた。妻は「あなたは良くうなされてるけど理由があるの?」と聞いた。

夫は理由を言おうとしても声が出なかった。

ただ「あなたと出会う前より今はぐっすり眠れるよ」と言った。

 ある日妻がママ友に「夫はウンコオムツを変えてねー」と言うと「ウンコのオムツを夫が変えるなんて!」とママ友は呆れた顔をした。

 妻はしょんぼりと夫にその話すると夫は「娘は食べて生きてるからウンコする 俺はそれが嬉しいよ」と言った。妻はニッコリ笑った。

夫婦は愛情深く娘を育てた。娘は何処か母親似の美しい少女になった。

 美しいと評判の娘への求婚者は列を成したが

父親は娘を最寄りのコンビニに勤めるブータン人の店長と結婚させた。

娘とブータン人男性の貧しいも仲睦まじい新婚生活がはじまった。

 その頃大国で内戦が起きた。結局大国は崩壊した。崩壊後、難民が続出し義賊になった。難民は小国を度々襲い小国は弱って行った。

父親はブータン国籍の娘夫婦にブータンに帰国を勧めた。その夜寝床で妻は「大国は父さんの言った通りになったね。」「ああ。俺は娘が生まれて家族を生かす方法をハゲる程考えたからな」と笑った。「頼みがあるんだ。おまえはブータン行って欲しい。娘夫婦を支えてやってくれ」父は妻に言った。「嫌だ私が行ったら父さんはどうするの」

父は「俺はこの家を守るよ。家族がいつでも帰ることが出来るように。」妻は「そんな事!嫌だよ一緒に行こうよ、」と言ったが、

父は真剣な目で「何処にもないさ永遠に不滅の国なんて…」「本当にごめんな。俺は生まれ育った、この国のしぶとさを知っている家族が住む場所は2つであって欲しいんだ」妻はそれ以上何も言わず震えて啜り泣いた。夫婦は抱き合い互いを確かめた。

娘夫婦と妻は飛行機で無事ブータンに帰国した。1人になった父親はLINEで家族とやり取りし、娘の孫の成人を見届けた。その夜、難民が老いた息子の家に火を放った。

 燃え盛る火の中で老いた息子は初めて、幼い頃の美しい母親の幻を見た。

息子は、眩ゆい幻に言った。

「母さん僕頑張ったんだ。僕の出来うる限り頑張ったよ。母さんの孫は守ったよ。

母さんを苦ませて殺して、ごめんなさい。ごめん」


  幻の母は、息子に優しく笑いかけ息子を大切に大切に抱きしめた。fin

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