Epilogue

 外にしっとりとした秋の雨音。


 旧校舎の一角。ぎしぎしと軋む床を早足で。


 扉を挟んで七生の声が聞こえてくる。


「どうか。あなたに素敵な来世が、ありますように」


 それから、少し七生の嗚咽。


「なによ……なんで私、あんなことしか言えないの……っ。もっと、もっと何か——」


 扉をガラッと開ける。


 中には七生が一人でいる。


「誰っ……!? え、あなた……どうしたの、キャンプファイヤー……は、この雨じゃ中止になっちゃったでしょうけれど……………………え。うそ……」


 七生、あなたに近付いてくる。床が軋む。


「な、なにそれ、この部屋のどこかに盗聴器が……いや、それにしては早すぎる、わね。あらかじめ、今日、この時に私がここにいるってわかってないと、間に合わないもの」


「じゃあ、ほんと……に?」


「いままでずっと、隠してたってわけ? かたちはどうあれ、自分は騙されたんだから騙し返したって……? ふふっなにそれ」


「……まったく、ちゃんと人間に転生して、しかもあれだけ友達がいたなら、私のことなんて忘れててくれてもよかったのに……ほんっと、お人好しなんだから」


「そうね。これからも、今までと変わりなく。楽しい学園生活が私達には待ってる」


 七生、涙を拭って、


「……だから、これからもよろしくね! 卒業まで、この青い春を味わい尽くしましょう!」

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霊媒体質女子に楽しく癒されて成仏させられる【ASMR】 砂塔ろうか @musmusbi

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