書店を救うためのアイデア

藍豆

書店を救うためのアイデア

 書店の減少が止まらない。欧米では増えているという話も聞くが、なぜ日本では減り続けているのか?


 シンプルに考えて「行く必要がないから」だろう。


 雑誌や週刊誌はコンビニで買えるし、そこに置いてなければネットで注文すればいい。漫画や小説、専門書などもネット通販の方が楽に探せて電子化も進んでいる。


 つまり、わざわざ本屋に出向く必要がないわけだ。


 こういった事情は欧米も同じはずだが、日本の場合「読み書き能力の低下」や「小説投稿サイトの台頭」が大きく影響しているのかもしれない。


 つまり、口語体で書かれた簡易な文章しか読み書きできない日本人が増え、それを文体としたラノベは今やそのほとんどが無料で読める時代になってしまった、ということ。


 まあ、このあたりは人によって様々な意見があるだろう。


 とにかく書店の再生には、逆に「行く理由をつくればいい」という理屈になる。


 かといって、カフェや雑貨販売など別サービスを併設するのは本筋から外れるし、店員がオススメ本をアピールするというのもありきたりで使い古した方法だ。


 ここは素直に、もっと直感的に考えてみてはどうだろう。つまり「書店でしか買えない本を置く」という手段である。


 とはいえ、これまでの「出版→取次→書店」の流れだと、どうあがいても書店限定販売はできそうにない。


 そこを「書店自ら本を作る」ように変えてみる。もちろん全てではなく、まずは落ち目の小説分野で「書店独自ブランド」を作ってみてはどうだろう。


 これには紀伊國屋書店のような規模の大きい会社が望ましく、募集方法はコンテストが最良と思われる。ただしブランド立ち上げが目的のため、通常のコンテストと比べて採用数は格段に多くなるだろう。


 さらに、この「書店独自ブランド」には出版業界の常識を打ち破る様々な手法を取り入れる。それによって既存の本との違いを出すわけだ。


 具体的には次の通り。


【アイデア①】

 表紙絵をなくし、単色のシンプルなデザインの文庫本に統一する。

(これによりコストカットを図り、さらには統一したブランドイメージを視覚的に強くアピールする。)


【アイデア②】

 募集対象は文庫一冊分の文字数で完結済みの新作小説に限定。

(ラノベで用いられる連載という手法を避けることで、品質低下や打ち切りのリスクを排除し、ラストまでの全体的な品質が保証された安心感を客に与える。)


【アイデア③】

 コンテストには全国の書店から審査員を募り、出版業界で常識とされる下読みを排除する。

(客に近い立場の者を起用することで、これまでとは違った視点や価値観によって作品を評価し、形骸化あるいはマンネリ化した業界に新風を吹き込む。)


【アイデア④】

 文庫本にはシンプルなデザインの帯(半分くらいの大きなサイズ)を付け、そこに審査した書店員のレビューを載せる。

(これによって客は作品の内容を掴む。)


【アイデア⑤】

 可能ならアニメ制作会社と連携してコンテストを開催する。

(最近はアニメ制作会社が自らIPを取得する動きが活発化している。その流れに乗って優れた作品をアニメ化できれば、何にも勝る宣伝になるだろう。)


 ざっくりまとめるとこんなところだ。まあ、後はいかに上手く宣伝するかにかかってくるわけだが、何より「書店でしか買えない」という点を強調することが望ましいだろう。

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