第19話、mundus
街を掻き消す灰色の風の中、アクシオンは青磁の瓶に妹を抱いて立っていた。
燃やされる過程で魂は元の場所へ還る。骨が残るのは、生きる人のためなのだと。
もうハロは終わってしまっただろう。硬く張り付いた空気を緩やかに融かすかのように、方解石を通した光が降り注ぐ。
握りしめた手の中で、父に渡された金縁の羅針盤が高く鳴る。反射した光が巡って遊び、手の中で戯れては去っていく。街に着く頃にはなくなってしまうだろう。
アクシオンは、街や煙の向こうにあるだろう海に向かって坂を駆けおりた。
灰色の街 星見守灯也 @hoshimi_motoya
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