9月6日の日記

隣乃となり

9月6日(金) 晴れ

最近、家の近くの土手をジョギングしている。


土手は好きだ。特に目的もないのに自転車で走ったりする。

最近はジョギングをするようになった。

短距離は好きだが長距離はやっぱり辛い。足は痛いし口の中には血のような味が広がる。走りきるコツは何も考えないでただひたすら走ること。

何か思考した瞬間に終わりなのである。

毎日続けていると、「もう今日は無理だな…目標の場所に着くまでに力尽きて走るのをやめちゃうだろうな…」と毎回思うのだが、いつの間にか着いている。実際そんな遠い距離ではないのだ。


だから続けている。


意外とジョギングをしている人とすれ違うことは少ない。そっちの方が良い。前に人がいると結構離れていても、追い越せるかな〜どうかな~と余計なことを考えてしまってちょっとしたストレスになってしまう。



ミミズが焦げている。


土手にはミミズが多い。大体死んでいるが。

でもなぜか帰り道には生きているミミズがいる。

ウニョウニョ動いている生物が突然足元に出現するのはかなり怖い。走りながらも咄嗟に避けている。踏みたくない。絶対。 


ここ数日トンボの数が増えたような気がする。

走っていると目の前にトンボが現れる。トンボが一瞬蜂に見えて毎回ビビる。でもクマバチも数匹見かけた。クマバチは優しいから刺さないんだよ、と小学生の頃友達に教えてもらった。だから私はクマバチが嫌いじゃない。あのフォルムとかもちょっと可愛く思えてくる。


行きはあまり気にならないが、帰りはグラウンドで野球をしている高校生の声がよく聞こえる。多分行きは完全に意識していない。

しっかり挨拶している野球部。馬鹿みたいにふざけ合っている野球部。顧問が声を張り上げて指導をしている野球部。


好きではないが純粋に尊敬する。野球部はなんだか一番青春っぽい。偏見でしかないけど。


運動部に入ってみてわかったことがある。

それは、文化部時代に思っていた「運動部って上下関係が厳しくてなんか汗だくになって運動して顧問も厳しくて…所詮は部活なのになんかばかみたいだよね(ほんとにすいません)」みたいなことって、実際飛び込んで当事者として体験してみるとわりと楽しいんだなっていうこと。

クーラーの効いた部屋で何故か若干運動部を見下している中学生の私に、意外と運動部って楽しいよと言ってあげたい。

正直、入る前は「冷めちゃうんじゃないかな…」と心配していたが、実際やってみると、この若干の馬鹿らしさも真剣にやると楽しいな…って思えるようになった。

もちろんかなり辛い。先輩は好きだけど怖いし実力は足りないしここに至るまでの短い期間でも何度も辞めよっかなーと考えた。


でもとりあえずはなんだかんだいって楽しいと思えている。

だから続けている。


帰り、グラウンドかなにかが凄く綺麗に真っ平らにされていた。それを見て、ほとんどその場に人がいないことに気づいて周りを見渡した。やっぱり人が凄く少なかった。たまにある。一人だけこの場に取り残されたような、もしかしたらこの世界から自分以外の人間はひとり残らず消失してしまったのではないかという感覚。結局遠くの方に人が歩いているのが見えて安心するのだが、一瞬どうしようもない不安に駆られて怖くなることがある。驚くほど静かだった。


そう。この日はなぜかすごく景色が綺麗だった。夕日が川に反射してキラキラしていて美しい。妙に静かだったのも良かったのかもしれない。あるいは時間帯。

理由は特にないが、この日記を書かなきゃなと思った。



そういえば走ったあと少し行った先で休憩していたら二箇所も蚊に刺された。おい。

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9月6日の日記 隣乃となり @mizunoyurei

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