深みのある二人の関係は、BLなんて二文字じゃ終わらせない!

「頑張れ、ススラハ!」
多くの読者はそう言ったという。
あなたもきっと、読み進めるうちに、そう言いたくなってしまうだろう。



ボーイズラブ。
多くの作者が書くのは、おそらく性癖を──誤用の意味で──詰め込んだ作品だろう。
要素×要素×要素。キャッチーなタイトルにべたべたの甘いスナックのような展開。
そんな物に食傷気味の読者にはぴったりなのが今作品である。

ファンタジーを基盤とした、大空が広がるかのような展開の数々。
ちょっと笑ったり、手に汗を握ったり。
コレは、ただのボーイズラブではない。主人公・ススラハを中心とした人間ドラマだ。

もちろん、ボーイズラブ要素が無いというわけではない。
「爪を塗る」という行為、ソレこそ今作において最も心を交わす行為であると筆者は感じた。
回を追うごとに重みが増していくこの行為に、どこか扇情的なものを見るかもしれない。

何より素晴らしいのは、主人公・ススラハを応援したくなる気持ちにさせてくれることである。
最初こそ物語の中のキャラクターかもしれない。しかし、話数を重ねるごとに、彼はきっとあなたの読書の旅のお供となってくれているだろう。
最終回まで目を離さないでほしい。

あなたがのめり込むなら、この不思議で魅力的なパチパチ弾ける飴のような作品はきっとあなたを招き入れることだろう。