第49話 剣聖の居どころ
今日はミーティング。久しぶりのリリィズの活動日だ。いつものスタックスでテーブルに向かい合い、まるでずっと会ってなかったみたいに胸を弾ませる。
「みんな。疲れは取れた?」
「当たり前や。バッチリやっちゅうねん。」
「葵ちゃんは、夏休みの宿題順調ですか?」
「そ、それは…
バッチリとは言えへんなぁ。」
「あれほど7月中に終わらせるように言っただろう。」
「お母んか!」
そんな他愛もない会話で盛り上がってると、和泉がおもしろい情報を出してくれた。なんでも、家の古井戸から剣聖ゆかりの木片が見つかったんだって。私はテーブルに置かれた、真新しく見えるその木片を手に取った。私の古霊視が発動する。
私の頭の中に、木片に宿る記憶が流れ込んできた。うん。間違いなく、剣聖の記憶だ。
「これは残念ながら宝の地図じゃないね。」
「そうなんですか?
残念!」
「でも、もしかしたら剣聖に会えるかもしれないよ。」
木片に描かれていえるのは、剣聖がこれから辿ろうとしている順路。いくつかのダンジョンを経て、最終目的地は島根県の【出雲大社妖怪ダンジョン】みたいだ。ただ、剣聖がこれを残したのは15年も前。今もそこにいる可能性は低いかな。
「でも、地図を残すってことは、剣聖は誰かに来てほしいってことやろ?
本人に会えなくても、なんかええもん残してくれてたりするんとちゃうかなぁ。」
「問題は【出雲大社妖怪ダンジョン】はBランクってことだな。
私たちはまだ、Cランクのダンジョンにも挑んだこともないからな。」
リリスの心配ももっともだ。Bランクといえば、挑戦するだけでも人をかなり選ぶ。資格が必要なわけではないけど、私たちの実力で大丈夫だろうか。
「きっと大丈夫ですよ。
正直、Dランクの【天王寺アニマルダンジョン】も、ダンジョンとしては物足りなかったですし。」
「そうだな。心配していてもしかたがない。
私たちに早すぎるダンジョンだったとしても、逃げ帰るくらいはできるだろう。」
「確かに。
でも、逃げる姿の配信はもうこりごりやし、挑むなら目標は攻略やけどな。」
みんな、頼もしいな。リーダーの私が、怖がってたら駄目だよね。よし、次の目的地は【妖怪ダンジョン】に決定だ。剣聖は妖怪に相性良さそうだしね。
目的地を決め、私たちは外に出た。
夏の空は美しく、どこまでも澄み渡っている。この吸い込まれそうな青色の中を私たちはどこまでも飛んでいける気がした。
山際から不気味に迫ってくる積乱雲に、私たちはまだ気づいていなかったんだ。
☆☆☆
仕事が随分忙しくなってきて、しばらく執筆していません。
今は書き溜めているものがありますが、ストックがなくなれば
しばらくお休みをいただくことになると思います。
そうならないようにできるだけがんばりますが。
みんな、剣聖。~女の子4人組で配信冒険者を始めるつもりが、4人とも回復職だった件~ 杉田モン太🍺 @kakimotogenki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。みんな、剣聖。~女の子4人組で配信冒険者を始めるつもりが、4人とも回復職だった件~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます