第28話 ハイレベルな男の投資
有馬は、大学時代からすでに未来を見据えた行動を取っていた。彼は単なる学生であったが、将来の安定を真剣に考え、早々に証券口座を開設していた。当時のアルバイト代から少しずつ資金を入金し、少額でもコツコツと資産を積み上げていた。工場の派遣バイトを経験する中で、有馬は痛感した。
「積み上げが全てだ。」
バイトで得たわずかな給料の中から、将来のために少しずつ投資を続けること。それが、彼にとって最も重要なことだと気づいたのだ。工場での単調な作業をしながら、彼は将来のための基盤を作っていた。また、彼はもう一つ重要なことに気づいていた。
「金があっても、時間がなければ意味がない。」
金を持つだけでは不十分で、時間こそが真の富だと理解していた。だからこそ、有馬は投資に必要以上の時間を費やさなかった。彼の投資手法はシンプルで堅実だった。毎月の手取り40万円の給料から、20万円を自動的にインデックス投資に積み立てていた。重要なのは、自動化していることだった。投資に手を煩わせることなく、着実に積み上げる。彼は証券口座をほとんどチェックしなかった。
「数年前に資産が3000万円を超えたあたりで、もう興味がなくなったな。」
有馬はそう振り返る。総資産が増えることは分かっていたし、そのために日々の生活に影響を与えることはなかった。彼の視点は、ずっと未来に向けられていたのだ。このまま続ければ、いずれ1億に到達することは目に見えていた。実際、有馬は現在29歳で総資産は5000万円を超えているが、彼はそのことに気づいていない。彼にとって、証券口座の数字はどうでもよかった。
「相場が暴落する時期もあったが、別にそれを気にすることもない。」
市場が暴落した際にも、口座を確認して精神をすり減らすようなことは一切なかった。有馬にとって、投資とはあくまで「淡々と積み上げる」作業であり、それ自体が人生の中心ではなかった。むしろ、彼は時間を仕事とプライベートに費やすことに重きを置いていた。日々の仕事に全力を注ぎ、プライベートでは趣味や友人との時間を楽しむ。そんな生活こそが、彼の幸福度を高めていたのだ。
「投資なんて、放っておけばいい。」
有馬はそう考えていた。彼にとって、人生を楽しむことこそが最も重要であり、投資はそのための手段に過ぎなかった。積み上げの重要性を理解し、時間を有効に使うことができる男。だからこそ、有馬は今、成功を手にしていた。
ローレベルな男の陰鬱VSハイレベルな男の最高 或真怜央-ARUMA LEO- @ARUMA_LEO
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