あとがき
昔から、本の後書きを読むのが好きでした。ちゃんと統計をとったわけじゃないけれど、小説の場合だと、後書きのある本と後書きのない本だと、後者の方が多いはずで、そんな中、後書きのある本を読むと、今でもちょびっとだけ得をした気持ちになります。
そんなちょっとした「好き」の話をしたくなったのは、本作『彼女は僕の血を喰らう。』は、私の好きな要素を詰め込んでみた小説だからです。吸血鬼のような人外も、退廃的なエロティックな雰囲気も、戦う両者共に傷を負いまくる血みどろの戦闘も、好きな女の子の為に戦う男の子も、全部好き。好きな物だけ詰め込んだ作品になりました。──嘘、ちょっとだけ読者ウケを狙ってエロマシマシにしているところはある。
元々本作は「第四回性癖小説大会」という、カクヨムの自主企画で書いた短編作品を長編とした物です。各々の参加者が「私はこれが性癖(この性癖はネットスラング的な意味の方)」というのを持ち寄り、小説を書くという素敵な企画です。因みにその時に提示した性癖は「一人の血しか吸わない吸血鬼」、「多重人格」、「一人称俺の身体女性」、「共依存がちの男の子」、「ポッと出の悪役」でした。最後の奴だけ、長編にしたことでナーフされちゃった要素かも。いや、冬夜もまあまあポッと出だな。伏線は張ったけど。
──と、そんなこんなで「俺はこれが好きだー!」から始まった物語でしたので、だったら私の好きな「あとがき」で締めなければ嘘というもの。
本作には、あまり褒められた調子ではない奴らがいっぱい登場します。罪から逃げるのも、人を殺しておきながら呆気らかんとしてるのも、未成年を家に連れ込むのも、どれもこれも。うん、基本的に真似してはいけない。そうなんだけど、けれど人は正しいことだけをしていればそれで万事オッケー! ハッピー! というわけでは当然ない。本作の主人公達も、若さを言い訳にしつつも、自分が信じるものの為に戦って、そしてその生き様を他人に見せていく──。そういうのが、私は好きです。
と、作品語りは程々に。完成した小説は作者の手を離れるので、残るのは読者の解釈です。これも自分の好きなスタンス。
そしてここまで目を通してくださった皆様!
本当に、ありがとうございました!!
これからも色々な物語を紡いでいくつもりですので、また機会が合って、他の小説に目を通していただけると幸い。
というわけで、『彼女は僕の血を喰らう。』後書きでした。
──終わり!
彼女は僕の血を喰らう。 宮塚恵一 @miyaduka3rd
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