第13話 グットモーニング・アフタヌーン

「・・・スッキリだ」


 昨夜、大事な睡眠を幽霊騒動で邪魔されたからな、今朝再び眠りにつき、今目覚めたばかりである。


 窓の外を見ると駅のホームが目に入る。


「ここ途中停車駅か?」


『そんな感じだな、次の発車は明日の9:47だそうだ』


 今の時刻が・・・13:54分だから・・・これは「観光してきな」と言ってるもんだから・・・。


「よし、観光するか」


「おお、いいな。部屋にこもって端末ポチポチするの疲れたろ?」


「久々に体動かすぞ~」 


 こうして俺たちは列車から出て途中駅「ルテン・北」を観光することにした。


『ここにはとんでもなく美味いハンバーガー屋さんがあるらしいぜ』


「ファストフードか!?行こうすぐに」


 ファストフード、特にハンバーガーはまじで病みつきになる、でも過度にデカすぎると食べにくくなるからやはりそこら辺の調整が難しいとこだな。


「にゃーん」


 暫く歩いていると路地裏へと続く道からある小動物がテコテコ歩いてきた。耳は三角、おめめは丸く、夜に光りそうだ。体はシュッとしてて筋肉が引き締まっている。


「猫か・・・」


『この宇宙だと「バシュット」って呼ばれていて様々な星系でペットとして買われているんだそうな』


 無意識に手が猫の背中へと吸い寄せられ、気が付けばナデナデしていた。猫を撫でるなんていつぶりだろうか、地球にいた頃は大学の帰りにたまにいる野良猫を撫でたりしてたっけ。


『さっさとハンバーガー買いに行こうぜ、売り切れるかもしれねぇぞ』


「もうちょっとだけ、なんか撫でたりないんだよ」


パン、パパパパパパパパ。


 遠くでこの町に合わない発砲音らしき音が聞こえてきた。さらに奥から何か入ってそうなケースを持った男が走ってくる。


「ど、どけぇ!」


「待て落ち着け、そのケースなんだ?新しいプラモか?」


 俺は彼が大事そうに持っているケースを指さす。


「うるせぇ・・・今すぐどけ・・・」


 なんと男は懐から拳銃を取り出し、こちらに銃口を向け引き金に指をかけている。


「絶対に成功させなきゃならんのだ・・・邪魔するくらいなら死ねぇ!!!」


 そう言い男は引き金を引き、発砲する。俺は腕をクロスして顔の部分をガード。銃弾はクロスした腕に当たった。


「・・・タイミング遅れたら死んでたな」


「な!?なんで効いてない!?」


「耐弾コートだよ!」


 次弾装填する前に顔に一発入れて気絶させた。


『まさか撃ってくるとはな。ああいうのは大体「撃つぞ!」って脅しに脅して結局撃てないのがテンプレなんだが』


「耐弾コート着ててもやっぱ痛いな・・・」


 ガスガンを至近距離で腕に当てたような感じの痛さだ。だけど頭に当たるのを防げてよかった。


 さっきの騒ぎのせいでいつの間にか猫が居なくなってしまった。まだ満足するまで撫でてないのに。


『とりあえずコイツ詰所まで持ってくか。それで帰りにハンバーガー買おうぜ』


「そうだな」


 その後無事に男を届け、ファストフード店でお目当てのハンバーガーを買うために列に並んでいたらカエデに会ったので、ついでにカエデの分のハンバーガーも買って一緒に食べながら列車に戻った。肝心のハンバーガーの味はとても美味かった。肉のボリュームがとてつもなく、とても食べ応えのあるハンバーガだった。


 ただ、猫を十分に撫でることが出来なかったのが残念だ。

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