孤独は何処へ行く?
@hawk_ichiro
孤独は何処へ行く?
影色の斑模様を身に纏った夏木立の葉っぱたちが、夜風に揺れている。その優しい揺らぎのリズムに合わせるように、私の歩調も緩やかになる。前を歩く四人の背中はどんどんと小さくなり、やがて見えなくなる。声が聞こえる。
「おーい。早く来いよ」
私も大声で返す。
「先行っといて」
私はさらに、足取りを緩める。
仄暗い夜空と朧気の三日月。だだっ広い高原を走る国道。
まばらな街灯の明かりと、私一人。心が少し、苦しいような。
次の一歩はどっちの足から踏み出そうか。右足か、はたまた左足か。
この選択に自分の未来の、決して小さくない部分が懸かっているようで、何となく勇気が出ない。いっそこのまま、吐息のように夜に溶け込んで消えてしまおうか。でも果たしてこの静寂の夜は、ざわざわと色めき立つ私の青臭い心を、受け入れてくれるだろうか。
私はただ、夜を見ている。夜もまた、私を見ている。
孤独は何処へ行く? @hawk_ichiro
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