放課後の学校
霜桜 雪奈
放課後の学校
放課後の教室は、無法地帯になる。
様々な言葉が飛び交いながら、一人、また一人と生徒が教室を飛び出していく。
教室に残る人もいる。そういった人たちは、クラスメイトとの会話の中で大声を上げたりしている。
彼の倒した花瓶に入っていた水は、窓から差し込む夕日の光を受けて、まるで燃えているように見えた。
その上に落ちた花は、すっかり萎れてしまっている。
じわりじわりと水が広がっていき、床を黒く染め上げていく。
「まだ、帰らないの?」
彼は言う。
窓を通して眺める空は、まるで炎のような橙だった。
ただ、そんな空も一滴の黒に毒されている。
それはまるで炭のようで、私のようでもあった。
人は、変化を恐れる。
だが、一度は誰もが考える。
何かの終わりを。何かの変化を。
日常の崩壊が来る、その瞬間のことを。
それは恐れているからではない。
心待ちにしているのだ。
昨日とは違う今日を。
今日とは違う明日を。
誰もが、日常の変化を望んでいる。
それは――畏怖という名の待望だ。
「夕日が、綺麗だなぁ」
夕日が、教室を燃やす。
私の呟きに、彼はもう何も言わない。
「月は……まだ出ないかなぁ」
制服が、夜の色を
最期、私の眼に写る彼は、輝いて見えた。
放課後の学校 霜桜 雪奈 @Nix-0420
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