第7話

「…たぶん、自分たちの部屋にいるんじゃないかな。」



ライラックは寂しそうに言った。


「えっと、、なんで?さっきまで2人、洗濯物干していたよね?」



私がそう聞くと彼女は俯いてしまった。

こりゃー何か裏がありますな。


「えっと、あのね…先輩たち、いつもこのぐらいの時間にやる事があるらしいの。大切な用事だからお願いねって、言ってたから、だから私がみんなの分まで頑張ろうって思ってたんだけど…。でも私、他の人みたいに器用じゃないから…上手くできなくて。そうしてたらスイレンちゃんが来て、ちまちましないでって…。」


「まぁ、先輩達もホントは何もしないで部屋で遊んでるらしいんだけどね…。」



ん~~うんうんうん。

話は大体わかった、

つまり…








この子いじめられてるよね!?完っっっ然にパシられてるじゃん!どこのシンデレラ!?


その先輩らに会ったことない私でもそいつらがろくでもないってわかるんだけど…。しかもあの気強そうな子にしばかれながら仕事とか、、、



ブラックだな。ここ。




「えっと、あのさ!その先輩達が戻って来るのっていつごろ?」


「…カルミアさんが戻る前だよ。」



うん。有罪!!

絶対、性格に問題抱えてるじゃん。後輩に仕事押し付けて、サボって自分は遊ぶとか…。




「ねぇ…。私がカルミアさんに相談しようか?言いづらい時もあるだろうし…」

「それはダメ!!」



ライラックの必死な声が響き渡る。

さっきまでの彼女からは想像できないような声。

時間が止まるような、ひりついた空気が漂った。





「あっ!ごっごめんね急に強く言っちゃって…」


「全然大丈夫!こっちも、そっちの気持ち深く考えないで勝手に解決しようとしたし…。ほんと、ごめん。」





ライラックは首を振り、優しくそんなことないよと語りかけてくれた。一体何があったのか、私にそれを知る余地はなかった。











数時間後


ライラックと別れてから、カルミアさんからみんなが集まったと報告されるまでそれほどかからなかった。私は、さっきまでいた衣装部屋まで足を運ぶ。





「到着しましたー。」



そう言ってドアを開けるとそこには、ライラックとスイレン、そして例の先輩メイドがきれいに並んでいた。


「この子が前におっしゃってた新人ですか?」


前に出て話を始めた女は私に何かを試すような視線を向ける。

イヤだなーこの人。 



「そうよ。みんな仲良くしてあげてね!」


カルミアさんの笑みに反して、スイレンという少女はやや不服……いや、憐れむような目で私を見つめる。

やっぱりこの班何かあるな。









私は先輩達に連れられ、採寸してもらい、制服を渡してもらった。更衣室にて着方や髪の手入れを教えてもらった。


これだけ聞いたらだいぶ良い先輩である。



でも私は彼女らを信用しきれなかった。

だって似てるんだもの




私の前いた世界…

そこにいたしょっーもない同級生どもに。







仕事のこなし方を一通り教えてもらい、雑用係として最低限働けるだけの能力をつける。

それが私の目標であり、カルミアさんがカレンデュラ様から受けためい


私は必死に仕事を覚えた正直だいぶキツイし女がやることなんかとか思ったりしてるけど、死に物狂いで皆さんについていった。




そうして、しばらくが過ぎた。












ここに来てから8日目の朝のこと。






私は早めに仕事を終えたので部屋に戻ろうとしていた。その時だった。



「アハハッ!ちょっとシラー!アレはやり過ぎでしょwww」

「マジそれな〜。アイツ、プルプル震えてたよ?生まれたての子鹿かよっての。」


「それな〜!ちょっと可哀想だったよねー。」




「はぁ?何よ可哀想ってwアンタたちだってあの後腹の底から笑ってたじゃないwそれに、アレはイジメじゃなくて躾よ。何をしてもダメダメなダメラックちゃんにはあれくらいしないとね〜。」


「ハハッ性格悪ぅ〜!」


部屋の外に響き渡る声。

内容は最低最悪だ。

まさか仕事サボってまでこんなくだんない話してたなんて…

私はドアの前に座り込み耳を近づけた。



「てゆーか、あの子どうすんの?シオンだっけ?バレたらヤバない?」




「だよね。まぁまだ良い先輩像あるでしょ。私ちゃんと優しくしたよ?」



「でもあの子ダメラックと仲いいんだよ。ちょっとメンドーだよね。」



「フフッ。まぁ反抗してくるならそれでも良いわ。その子もまとめて躾ればいいし。それよりも問題は…」






「スイレンでしょ?」



シラーという女の低い声が響くと同時に彼女らは静かになる。




「スイレンってあのイマイチ何考えてんのか分かんない関わりにくい子でしょ?その子がどうかしたの?」



「馬鹿だな〜ハナニラっ。あの子ってば、今じゃこの荘で一番の有能株じゃん。生意気だよね~こないだ入ったばっかのペーペーのクセに。それでね。あの子カルミアさんだけじゃなく、邸長にまで気に入られてんの。これでわかるでしょ?」



「あーね。つまり!シラーにとって一番邪魔な存在だと。」




「そうよ。あの子のせいで私の計画めちゃくちゃだっての。せっかく副班長っていい感じの地位就いたのに、抜かされたら意味ないじゃない!」



そういう彼女の声にはイラつきが入り混じっていた。なんとも醜い奴らだ。



「まぁだから、そろそろあの子にも堕ちてもらおっかなって♡あの方と添い遂げるのはこのアタシ。邪魔な女は消すだけよ。」





「アッハハ!さっすがシラー!!最っ高〜」


「スイレンちゃん、ちょー可哀想ぉ〜。フフッ、アハハッ!」




ゲラゲラと彼女らの笑い声が響く。

それを聞いて、私は自分の中で何かが生まれた気がした。












…他人と関わるのは好きじゃない。

でも、人が傷つくのはもっと嫌い。

ましてやあんな奴らが上にいく世界なんてクソ食らえだ。






誰だって、一生懸命頑張ってる子がこんなこと言われてたらムカつくよね?

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1000年分の祝福を君に viole @reo0812

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