第5話
月曜日、佐田部長は部室にある人を呼ぶ。
「京ちゃん、大変だったね。ずっと心配してたんだよ。力になれなくてごめんね。」
部室に入ってくるなら泣きそうな顔で佐田部長に抱きつく佐久間さん。
佐田部長は佐久間をそっと押して離す。
「力になる気なんてなかったでしょう。あなたが西園寺くんを唆したんだから。」
「な、何言ってるの。そんな事してない。」
「おかしいと思ってたのよ。何で学校では一切一緒にいないし、連絡取ってることも誰にも言ってないはずなのにバレたのか。西園寺くんのこの前の独白の後、弁護士さんが全部聞いてきてくれたわ。あなたが西園寺くんを唆して、私を好きだと思わせたことも、私との仲を都度あなたに相談して少しずつ要求を増やした事も。あなた達が尾行した日に変な服装させられたけどそれもあなたが言ったみたいね。私が本当はギャルみたいな格好したけど、素直になれないから命令という体で着せてあげてって。」
あの格好は似合わない上に恥ずかしくて屈辱的だったわと、自嘲するように笑う。
ちなみに似合っていると思ったことは内緒だ。
彼女にはおとなしい服装もギャルファッションもどっちも似合う。
「あーあ、バレちゃたかー。まぁ、別にいいけどね。」
さっきの泣きそうな雰囲気も普段の明るい雰囲気も鳴りを潜め、バカにしたような雰囲気を纏う。
「何でこんな事したの?」
「決まってるじゃない。あなたが鼻につくからよ。あなたに会うまで私が1番人気だったのに。愛想もないくせに。」
獰猛に言う。
「だから、陥れてやったのよ。私よりあなたに夢中な西園寺くんも陥れられるからちょうどいいって。まぁ、契約は断ると思ってたから、仕事なくさせるくらいだと思ってたけどね。」
あなたの母親が想像以上のクズだったわ。
そう言って笑う佐久間さんに僕は怒りよりも恐怖を覚える。
「まぁ、私がやった事は冗談でしたー。反省してまーす。で済むレベルでしょ。本当にやばい事唆す時はチャットじゃなくて口頭でしてたし。」
そう言って笑う彼女。
「えぇ、そう見たいね。でも、今のこの会話は全部筒抜けよ。」
「え?」
呆けた顔をする佐久間さん。
そう、この会話は全部撮ってありこの間の弁護士も、佐久間さんの両親も先生達も僕も別室でリアルタイムで視聴中だ。
ちなみに先生達もことが事なので1部の責任者だけに知らせてある。
ほとんどの先生は気づいてやれなくてすまないと、謝っていた。
ただ、顧問の先生だけは黙ってるように賄賂を受け取っていたらしく、懲戒免職処分を受けている。
そう告げると、佐久間さんは呆然した後、真っ赤になって喚き散らし、飛びかかる。
そんな佐久間さんを別室で待機していた佐久間さんの両親が急いで止めに行く。
飛び蹴りとは随分バイオレンスな止め方だ。
危うく、佐田部長も巻き込むところだったので気をつけてほしい。
そして、処分が決まった。
西園寺父や佐田部長の母は実刑が降りた。
西園寺父は脱税なんかもしており、財産はほとんど残らず、会社も倒産する。
佐田部長はその事を少しだけ気にしていたご、弁護士から通常業務でも怪しい仕事が幾つもあり、あのレベルだと就業者の自己責任だと聞き、ホッとしていた。
また、西園寺父は妻から離婚されたらしい。
どうやら、妻は日頃からDVを受けていたらしく、佐田部長に謝罪と共に感謝も伝えていた。
ちなみに、西園寺息子の親権は放棄したらく、父親持ちだ。
また、佐田部長の母親は親権を剥奪され、佐田部長のお父さんの妹に引き取られるらしい。
元々、姪を気にしていたが、佐田部長の母親が会わせないようにしていたらしい、
気づいてあげられなくてごめんと、泣いてい上に、今までの分と色々と買ってくれたり構ってくれたりして佐田部長は嬉しそうに困っていた。
西園寺息子に関しては、退学の上少年院に入る事になった。
まぁ、父親は捕まり、母親から見放されたので少年院に入らなくても行くところはなかったみたいだが。
佐久間さんは退学になった。
まだ、両親から見放され全寮制の厳しい学校に入れられたらしい。
彼女がまともになる事を願っている、
そして、今日僕は佐田部長と一緒に、遊園地に来ている。
佐田部長から思い出を上書きしたいと誘われたのだ。
駅で待ち合わせた佐田部長は昔会った時と同じく、大人しい格好をしてきた。
ギャルみたいな格好も似合っていたが、やっぱり彼女自身が好きな格好が彼女を1番輝かせてると思う。
そしてたくさん遊んだ後の帰り道、僕は彼女を公園に誘う。
「ずっと好きでした。付き合ってください。」
その時見せた彼女の表情は今までで1番綺麗だった。
僕の好きな部長が最近チャラ男と仲がいい HowYouDoing @HowYouDoing
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