奇妙な良いスタイル

デカルトとかの哲学書のような文体で書かれているのだけど節々に現代を生きている人なのだとわかる部分があり魅力的で楽しかったです。特にこの文体で書かれるSF騒動のギャップが深く印象に残りました。

千里眼のために自分の生き方を出来ない主人公がいろいろな人を憂いているのだけど、この世の皆が主人公と同じように子育てや経済や宗教や社会に歪まされている。だから終焉がすごくきれいに見えて解放されるカタルシスを感じている話なのかな。

私はこのテーマ自体にそこまで共感する感性ではないです。でも読んでいて楽しかったです。私は文学って「共感」はまだまだだと思っていて「洗脳」が大切なのだと思っています。世の中の先をいってまだ浸透していない優れた考えを文学を持って広めることが目的だと思うからです。それに近いスキルを感じました。

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