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クラミツは地を蹴る同時にイドスを起動し、白い外装甲をまとった。
俺は剣を構えて身を守ろうとしたが重い一撃を受けて吹っ飛んだ。
俺の体は壁にめり込み、頭にいくつもの瓦礫が落ちてきた。
気を失いそうになるが、堪えて男を睨んだ。
よろめきながら立ち上がり、戦っているライドーの元へ駆けつける。
イヅルヒがナイフを飛ばしているが跳ね返されている。
剣の間合いではないが、切れるという確信がある。
使い方も何となく理解した。
地面に剣を突き刺すと、見えない剣撃が発生し、装甲が切断された。
「ふん!」
クラミツは刀を睨み、ライドーを投げて接近してきた。
俺はもう一度攻撃を守ろうとしたが、確実に命を奪うために振り上げられた腕を見て横へ転がった。
苦痛で顔をしかめ、脇腹を触った手を見ると真っ赤に色付いていた。
これ以上は避けられないと思い、俺はもう一度剣を構えた。
死を意識した瞬間、ぼんやりとしていた頭が冴えわたり、目の前の脅威に驚くほど集中出来た。
俺は重い一撃を受け流し、もう一度地面に剣を突き刺した。
ゼロ距離からの斬撃、装甲は砕け、肩から斜めに赤い線が走った。
クラミツは膝を着いたが、まだ立ち上がることができるようだ。
「まだだ、まだ諦められない。ここで負けるもんですか。絶対に取り戻してみせる。自らの手で、必ず...!」
彼の目は虚ろでどこも見ていないが、その信念は未だに燃え、叶えたい目標が見えているようだった。
次の瞬間、大きな爆発音が響いた。
重い音で空気が揺れている。
「アルがやってくれたみたいだ。私たちも逃げよう。」
急いでその場を後にしようとすると、
「待て!まだだ!」
クラミツが叫んでいる。
いつの間にか、彼の後ろに、先程のオカマ風の人物がいた。
「いいえ、あなたは終わりよ。」
クラミツは後ろから刺され、動かなくなった。
「今は早く逃げよう!あいつもイドスを持ってる!」
イヅが鏡の中をくぐったので俺達も後に続いた。
鏡の向こうは最初の駅だった。
アルはすでに戻ってきていたようで、おそーいと言っていた。
イヅはアルに抱きつかれて匂いを嗅がれるのが嫌そうだった。
列車は、もう少しで来るという話だったので、少しの間待つことになった。
「ロージィはさあ!誰か恨んでる人とかいるの?」
「恨んでるとしたら、自分の親かもね。」
「ふうん。なんで?」
「すごく大きな借金を残して行方をくらましたんだ。」
「へえ。見つけたらどうするのかしら?」
「残りを払ってもらおうかな。」
「いいわねえ!地味だけれど嫌いではないわ!」
「私たちが今探してる人はね!」
「あらん、アタクシの居ないところで噂話かーしら!」
オカマ風の男がいた。追いかけてきたのだろうか。
一瞬で場が凍りつき、緊張が走った。
全員が武器を構えたが、そいつは笑っているだけだった。
「ぐふふ。今は殺さないわよ?」
「アルは今でも構わないけど。」
「まあ!大胆!でも忙しいので今日はさよなら。」
オカマは消えてしまった。
「あの超絶変態レオタードおじさんはね、武器商人でどんな兵器でも扱ってるの。あいつが今一番、多くのイドスを所有してる。」
轟音と共に列車が到着した。
「それじゃあ、これからもよろしく、ロージィ。」
俺たちは列車に乗り込んだ。
次世代家族紀行 破村すたむ @hammastaria
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