第2話 秘密の話。

「あのさ、見た...よね...?」

「え、な、ナニヲデスカネ...?」

「片言になってるよ、バレバレ」

「え、っと、ごめんなさい」


見ていたのがバレてしまっては仕方ない。素直に謝って許してもらおう。


「この事さ、皆には言わないでほしくて...」

「な、なんでですか...?」

「ほら、ギャルなのに義足って...変じゃない?」

「ギャルって言うものがどういうものか正しくわかってないので...」


東条さんは義足を外して見せる。外側が本物そっくりだ。


「うちさ、小さい頃に妹を守って...こうなっちゃって」

「すごいですね」

「えっ?」

「妹さんを守って怪我したのに、恨まないとか。まぁ、そういうものなのかもしれませんが...。」


そんな事を言われると思っていなかったのか、東条さんは驚いた顔のままだ。


「うちね、中学の頃初めて好きになった人がいたんだ。」

「はい、てか、惚気ですか?」

「ううん、その人ね、義足のこと知ったらうちのこと振ってさ、」

「そ、そうなんですね...」


少し泣きそうな顔の東条さんに戸惑う。


「それから...恋するのが怖くなった。自分を偽るために、目元まであった髪も切ってさ、メイクも料理もたくさん練習したんだ。でも...」

「でも...なんですか?」

「うちが義足だから...皆...」


泣きだす東条さん。俺は気まずくなり、『すいません』と言いながら少し抱きしめる。


「ありがと、でも、同情はいいんだ。」

「同情じゃないですよ、それに、東条さんの事をちゃんと見て、好きになってくれる人は絶対います。」

「励ましてくれてありがと。」

「あ、ど、どういたしまして...」


また俺の腹が鳴る。早く保健室に行かなければ。


「お腹痛いの?」

「あ、は、はい」

「そっか、呼び止めちゃってごめんね」

「いえ、それじゃ...」


教室の外に出る。


「また話したい。」

「えっ?」

「今日の放課後、ここで待ってる。」

「は、はい」


そんな会話を交わして保健室にたどり着く。

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あの子の秘密。 夜鴉黒 @yogarasu_kuro

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