あの子の秘密。
夜鴉黒
第1話 〇〇を目撃。
「はぁ...」
深くため息をつきながら俺、一ノ瀬誠は自分の席に座る。
「おっはよー!」
「あ、東条さん、お、おはよ...」
「一ノ瀬君元気ないねー!なんかあったの?」
「あ~、ちょっと寝不足で?」
今俺に挨拶してきたのは東条真由さん、腰くらいまでの金髪に水色の瞳をした女子だ。身長は...160~170cmと言ったところだろうか。東条さんはクラスのマドンナ的存在であり、ギャルでもあるが陰キャにも分け隔てなく接してくれる天使のような存在だ。
「寝不足?ちゃんと寝なよー!」
「あ、あはは...」
「も~...わかってるのー?」
「う、うん、わかってます...」
人と話すのは苦手だ、というか女子が。小学生の頃に初恋をして告白したら『きもいから無理』とか言われたら誰だって苦手になるだろうよ。
「あ、授業始まるからうち行くね!じゃね!」
「あ、う、うん」
良いにおいがしたな...じゃなくて、やっぱり元気だなぁ...。と変なことを考えながらも授業が始まるので準備をする。その時だった。
(ぐぎゅるぎゅる~)
突如とんでもない腹痛が俺を襲った。
「こ、これは...トイレに行きたい方の腹痛じゃない...!?でも...今腹痛で...なんて言ったらトイレだと思われる...よし、我慢だ。」
(キーンコーンカーンコーン)
「よし、急げっ。」
授業終了のチャイムが鳴り、出来るだけ猛スピードで保健室に向かう。
(ガシャン、ドタンバタン)
「ん...?何か倒れたのか...?そんな事より保健室...って人影!?」
物が倒れる音がした空き教室で誰かがいる。早く保健室に行きたいという気持ちと、中がどうなっているのか気になる気持ちがぶつかり合う。
「す、少しだけ...って...なっ!?」
俺が中を見ると、壁に寄りかかって自らの足、いや、義足を外している東条さんを見つけた。
「東条さんって...義足だったのか...って、やば!」
東条さんと目が合ってしまった。怒られるだろうか、変態扱いされるか?いや、どっちにしろ嫌だな。
「い、一ノ瀬君、だよね...?」
「あ、は、はい...ごめんなさい...」
「少し入って、話聞いてもらってもいい...?」
「え、わ、わかりました」
お願いだから変なことにはならないでくれっ...!
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