華やかな欧州貴族の世界史は、実はかなり
策略と血に塗れた歴史だった……とはいえ
この作品は、小難しく複雑な欧州史を
軽やかに笑い飛ばして巡る事が出来る。
これは プリンツ・オゲイン・フォン・
サヴォイエン=カリグナン という
一人の男の、華麗なるキングメーカーの
類稀なる一代記である。
作者の歴史的知識の豊富さには舌を巻くが
まさか日本史のみならず世界史までも、
しかも、最も複雑を極める欧州のコアな
歴史に斬り込んで行くのには驚かされる。
そして更に驚くのは、この複雑怪奇な
歴史が面白可笑しくすんなりと入って来る
その筆致によるものだろう。しかも作者の
描く物語は、とても心を温かくする。
オーバーウエイトな歴史を、ギュッと
纏めた苦労も見受けられるが、導入には
まさに、もってこい の、初心読者には
嬉しい創りとなっている。
是非とも読んでみて欲しい作品!