13 Kickback. Get back. Pay back. ―復讐するは我にあり―


【#三聖剣】レゾ球ぶった斬り! 第五二斬目【リク・カイ・クウ】


『上位チャットのリプレイ』


 : 変な人w

 : 声カワイイ! これは無罪ですね間違いない

 : なにひとつ反論できねぇ……リク、俺悔しいよ……

 : そっか変な人だったかぁ

 : 変な人なら仕方ない。正当防衛成立

 : はい解散!


「おいコラリスナー! おまえらどっちの味方なんだぁ!?」


 : どちらかと問われたら面白い方の味方、かな


「じゃあ俺の味方のはずだろ!?」


 : おっそうだな

 : どうしてそこだけ自信満々なんだよw


「チキショウめ! っぱ最後に頼れるのは仲間だよなぁ! カイ、クウ! こいつが俺を背中から撃った卑怯者だ!」

「どうやらうちのメンバーが迷惑かけたようだな」

「どぉしてそうなるのぉぉぉぉ!?」

「うっわダッサ」


 : ほっこり

 : 仲間との絆()

 : みんなリクのことよくわかってる

 : カイもよう背中撃っとる


「フフフ、所詮、人とは孤独に生きるもの……頼れるものは己のみになっちまった!」

【大丈夫な感じ?】

「おう! 心配には及ばないぜ! 然らばいざ! お天道様アマテラスに代わってこの『三聖剣トライアドライツ』が一振り、『エクスカリバー』が仕るぅ!」

【それはいいけど。後ろ、いいの?】

「ぬぇ?」


 のっそり振り向き、イモータルボディIB・エクスカリバーが慌ててスラスターを全開にした。

 直前までエクスカリバーがいた空間をツンツンにプラズマの棘を伸ばしたモルゲンステルンが駆け抜けてゆく。


「っぶね! 掠っただけで装甲に警告イエロー灯ったが!?」

【ややこしい話は後にしない?】

「賛成一票! そいじゃクウ、後の仕切りよろしく!」

「……リクお前……。普通、話を面倒にするだけしてして丸投げするか?」


 クウは溜め息を漏らし、しかしすぐに気を取り直し。

 反転し再び突撃しようとするモルゲンステルンを視界に収めると同時、乱入してきたIBが後退し始めたのに気づいた。


【そのボスには借りがあるんだけどね。割り込みは俺的マナーに反するから、ここらで引かせてもらいまし】

「あなたの意見を尊重したいのはやまやまだがな。すまないが、まったく手遅れのようだ」

【……?】


『警告。瘴気ダークフォグ侵蝕率上昇。一五〇%に到達。敵性存在エネミー、増加します』


『出現:シールドカタピラー×三〇』

『出現:シールドスレイター×三〇』

『出現:シールドワーム×三〇』

『出現:シールドセンチピード×三〇』


 無機質なアナウンスが流れると同時、地面が沸き立った。

 どこからともなく現れたシールドカタピラーが掘削ユニットを回転させながら爆走する。

 交差するようにシールドスレイターが転がり、さらに地面を食い破ってシールドワームが飛び出した。

 それらを飛び越し、鞭のようにのたうつのはシールドセンチピードだ。


【なになになにどういうことなにごとぉ!?】

「オーバーパックペナルティ……俗にキックバックともいうな。部隊の人数が増えるほど敵の数が多くなる、ならば一部隊を超えて集まるとどうなる? こうなるってことだ」


 : あーもうめちゃくちゃだよ

 : 盛り上がってまいりました

 : これよこれ。ドランケンシャフトはこうじゃなきゃ!

 : このゲーム治安大丈夫?

 : だいじょばないです


 ユニークボスがプラズマの輝きを湛え、その周囲を敵性存在が思うがまま跋扈する。

 ドランケンシャフトは今、控えめに言って地獄絵図と化していた。


【ゴメン。知らなかったとはいえすげーヤバい状況にしちゃった!】

(なるほど、向こうは初心者のようだな。おそらく適正レベルで狩りの途中にユニークボスにやられたといったところか)


 クウはわずかに思考を回し、決断する。


「こうなっては一部隊だけで相手するのは無理だ。こちらも大規模部隊レイドパックを組んで対抗する。リク、カイ! いいな?」

「クウが決めたんなら、異議なし!」

「ほいほーい」

「そこの! ミコトだったか。申請を送った、承認してくれ」

【『部隊の連結を承諾しますか』……ほい!】


 大規模部隊レイドパック――複数の部隊を束ねてひとつの部隊として運用する。

 師団会ディビジョンコープとは性質が異なり、より即席の意味合いが強い。


 通信がオープンチャットから部隊内用に切り替わり、IBのモニターの片隅に表情を映すウインドウがふたつ増えた。


「これでいいかな。改めて、『ミコト』です。ゴメンな! 迷惑かけちまった」

「私は『リセイア』。初心者だけど頑張るよ」


 ウインドウをのぞき込む幼げな雰囲気の美少女(?)と凛々しい美人。

 戦闘中だというのに思わず見惚れてしまうような美貌に、クウの動きが束の間止まる。

 直後、彼は己のミスに気付いて目を見開いた。


(しまっ……た! キャラウインドウが開くということは……!)


 : うおおおおおおおおカワイイヤッター!

 : ロリおねコンビィ!? ありえるのか、こんなスィーパーが!?

 : 眼福じゃあ……ありがたやありがたや

 : 高評価不可避

 : いいね! 押さずにはいられない!

 : 一〇〇回押した

 : 奇数回にしてもろて

 : フフ……その、下品なんですがね……ええ、下品ですね……止めておきます……


 予想通りにコメント欄が沸き立ち、それまでに倍する勢いでガンガンと流れ始める。

 クウは思わず頭を抱えていた。


(しくじった! 久しぶりの配信とはいえ、顔出し許可を聞き忘れるとは……!)


 三聖剣彼らは今、レゾネイティッドスフィアのプレイを動画投稿サービス上でリアルタイムに配信している。

 プレイ映像自体はIBに随伴するドローンのカメラを通して取得していたが、同時に部隊の表情ウインドウを配信上に表示する設定としていた。

 うっかりそこに部隊を連結した結果、相手部隊のメンバーまでも自動で配信上に表示されてしまったのである。


 レゾネイティッドスフィアはロボゲーという性質上、普通のプレイではプレイヤーキャラクターの外見が見えない。

 そのため外見を公開しても良いかは人によって異なる。

 いずれにせよ事前に許可を得るという手順をすっぽかしたのは彼らのミスであろう。

 それが目を瞠るほど美形のキャラクリをしているとなればなおさら。


「すまない! 手短に説明する。今こちらはプレイを配信していて……くっ!」


 クウのIB、クラウソラスが慌てて飛び退った。

 横合いから食らいついてきたシールドワームの攻撃をかわし、ついでに突っ込んできたシールドカタピラーの横っ腹をとっさに蹴り飛ばす。

 さらにぽーんと跳ねて突っ込んできたシールドスレイターを苛立ち交じりのプラズマジャベリンでブチ抜いた。


「ええい邪魔だ! とにかくこちらに手落ちがあった。あなたたちのキャラウインドウが配信上に乗ってしまっている! すまないが一度配信の設定を変更する。リク、カイ、しばらくもたせてくれ!」

「うおっそうじゃん! ゴメン! 完璧忘れてた! ここは任せろ!」

「あっちゃー。やっちゃった? そいじゃちょっと頑張りますかー」


 クウとクラウソラスが下がり、代わりにリクのエクスカリバーが敵性存在の矢面に立つ。

 素早くカイのアスカロンがその支援に入った。

 この期に及んで引っ込んでいるわけにはいかない。


 : えー!? やだやだやだやだやだカワイイ消しちゃヤダー!

 : 低評価不可避

 : 一〇〇回消した

 : もう手遅れじゃない? このまま続けよう? ね? ね?

 : いいね! 消さずにはいられない!

 : 美少女がレゾ球やってると聞いてきました!

 : カワイイはここですか!

 : うわ視聴者数めっちゃ増えてる。どこにいたのこんなに

 : \ここにいたぞ!/


「皆、すまないがいったん配信を閉じる。設定を直したらまた再開して……ああこの! 邪魔な!」


 しかし敵性存在は当然、彼らの事情など斟酌してくれない。

 押し寄せる敵へとエクスカリバーとアスカロンが懸命に立ち向かうも、全てを押しとどめるのは不可能だ。

 さらに、敵は雑魚ばかりに非ず――。


「うおお、コイツ止めるのは無理ィ!」


 特異性超大型U.B.O.S.S.個体、『モルゲンステルン』。

 突出した破壊力を誇るプラズマ穿孔スパイクを伸ばした棘付き鉄球が猛然と迫る。


 いかに雑魚を必死こいて相手したところで、ボスが止められなければ意味はない。

 クラウソラスに回避機動を取らせながら、クウは顔をしかめていた。


「とてもじゃないが設定を変えるような余裕はないな……ここはいっそ死に戻ったほうがいいか?」


 このままクラウソラスを守りながら戦うより、さっさと落ちてしまった方が話が早い。

 どのみち戦力が減ることに変わりはないし、むしろ守らなくていい分負担は軽いくらいだ。

 それ自体は良い、しかし。


 : いけウニ! やれウニ! 設定変更を阻止するんだ!

 : 今回ばかりはお前の味方だぞ! ウニ!

 : 俺が、俺たちが敵性存在だ!

 : カワイイが見れなくなるかどうかの瀬戸際なんだ! やってみる価値はありますぜ!

 : 構わん! 許す! やっちまえ!

 : すまないなリーダー、カワイイのために死んでくれ!


「お ま え ら」


 コメント欄撃ちたい。

 クウはこめかみを引くつかせながら、致し方ないと自分に何度か念入りに言い聞かせる。


「……一回死に戻りしてくる。すまないが後は頼んだ」


 そうして突撃するモルゲンステルンの進路上に無防備に立ち。


「それには及ばないんじゃあないかなってね」


 戦車主砲タンクロッドの甲高い砲声とともに砲弾がモルゲンステルンに突き刺さる。

 進路を逸らした棘付き鉄球がすれ違ってゆくのを見送りながら、大柄な影がクウとクラウソラスを庇うように割り込んできた。

 ミコトの『ハクウ重装改』だ。

 腰だめに構えていた戦車主砲を後方に跳ね上げるように格納すると、かわりに取り出したヘビーガトリングを抱えて盛大にぶっ放し始める。


「ミコト君、手伝うね!」


 その周囲を別のハクウが駆ける。

 リセイアの『ハクウ高機動改』は強化したスラスターの出力にものを言わせ、遊撃的にミコトの撃ち漏らしを片づけていった。


 : おっわなんだこのハクウ! めっちゃカスタマイズしてある!

 : 火力と速度、いいコンビだ

 : 俺っ娘……だと!?

 : ありだと思います!

 : 大火力カワイイええぞ! ええぞ!

 : ファンになりました。登録したいからチャンネル教えてほしい


 クウは横目にコメント欄を睨み、渋い表情を浮かべる。


「助かる。その上ですまないが、俺は配信の設定を変えにいかなくては……」

「このままでいいんじゃない?」


 彼を庇う、ハクウ重装改が背中越しに呟いた。


「配信に俺たちが乗ってるのがマズいんだろ。でも横入りに敵増やしてツーアウト、この上配信の邪魔までしちゃあスリーアウトってね。そいつは俺の信条的に大変よろしくない。というわけでここは顔出しOKでチャラってことでひとつ、どう?」

「それは……ありがたいが、大丈夫なのか」

「あ、俺は別にいいんだけど。リセイアさんは?」

「良いと思います! 皆ミコト君のカワイイをその目に焼き付けるとよいよ!」

「さいで」


 : カワイイ声で男らしいw

 : うおおおおおお配信続行感謝感激雨あられ!

 : よっしゃキター!

 : 今なんか変態いなかった?

 : ええぞ! ええぞ!

 : 皆のもの! 高評価じゃ、高評価をもてい!


 クウはふっと一息ついて。


「だったらもう遠慮はいらないな」


 それとしてコメント欄はいずれ撃ってやる。

 クウは心に刻みこんでから、彼の仲間に向かって呼びかけた。


「リク! カイ! 聞いての通りだ、このまま配信を続行する! いちど体勢を立て直すぞ!」

「おうマジかぁ! 太っ腹だな!」

「ふーん。そんじゃさっさと手伝ってもらえるー?」


 たっぷりと装甲の傷を増やしたエクスカリバーが後退してくる。

 重装甲を売りにしているだけあってさすがのタフさである。

 対照的にアスカロンは傷ひとつないが、こちらは単に一回でも攻撃を受ければ落ちかねないというだけだ。


 傷だらけのエクスカリバーを庇うようにミコトのハクウ重装改が進み出た。


「それじゃ俺は前衛に入るよ。増設した火力、とくとご覧あれってね!」


 ヘビーガトリングが猛然と吼え、さっそく頭上から飛び掛かってきたシールドセンチピードを粉砕する。


「じゃ私はミコト君のサポートで。ずっとそばにいるよ……」


 リセイアのハクウ高機動改が『制式強化対甲ライフル』を構える。

 プレイヤーメイドの品に比べれば見劣りする威力ではあるが、使い勝手が初期ライフルとほぼ変わりないため取り回しがいい。

 彼女は前衛ズより少し後ろに位置取り、彼らの横合いから回り込もうとする敵を牽制していた。


「それじゃあたしは下がって……いややっぱりみんなと一緒にいよう! うん!」


 カイはいつものごとく後衛ポジションに引きこもろうとして。

 あちらこちらに敵性存在がうじゃうじゃといることに気付いてすぐさま取って返してきた。

 ユニークボスにザコまで飛び交うただなかにアスカロンの紙装甲で飛び込む度胸は、彼女にはない。

 素直に前衛の守りの後ろから攻撃することにした。


「今日は俺が殿しんがりだな」


 カイのアスカロンは火力と機動性に優れるもののとかく打たれ弱い。

 そのため後方からの襲撃を防ぐべくクウのクラウソラスがついた。

 攻撃力、装甲、機動性の全てにおいて平均点なクラウソラスは必要なポジションがあればどこでも埋めることができる。

 仲間の尻ぬぐ、もといサポートが彼の役目なのだ。


 そうして総勢五機のIBが描いた陣形をドローンがその視界に収め、配信上に映し出した。


 : IBが増えると、こうグッとくるよね

 : 全員の動きが見えて面白い

 : うおっしゃあ! 反撃! 反撃!

 : ユニークボスぶっとばしちまえ!

 : 今日初めましてのはずなのにいい連携だ

 : 謎の感動

 : しかも三聖剣に不足していたカワイイが今日は足りている!


「は?」


 : ちょwレールカノンをドローンに向けるなしw

 : カイネキ敵撃って

 : 僕たち悪いリスナーじゃないよ!

 : だが良いリスナーとも言い難い


 前衛の火力が敵性存在を足止めし、後方からのレールカノンの狙撃が的確に撃ち抜いてゆく。

 左右後方から回り込もうとする敵性存在は二機の遊撃が片づけていった。


 ザコ敵と戦うのであれば申し分ない布陣。

 しかしそれをものともせず、モルゲンステルンが突っ込んでくる。


「ボス突撃きた! こいつぁ前衛でも止められん! 皆避けて……」

「ちょっと任せてもらえる? こいつのために色々用意してきたからさ!」


 ミコトのハクウ重装改がヘビーガトリングを止め、跳ね上げると代わりに折りたたんであった戦車主砲を伸ばす。


「リセイアさん! 『マキビシ作戦』開始!」

「いつでもいいよ!」


 ハクウ重装改が腰を落とし、戦車主砲をぶっ放した。

 放たれた砲弾は低い軌道を進み、そのままモルゲンステルンの足元へと直撃する。


 厚い装甲に覆われた胴体部に比べ、生体組織交じりの脚部は防御力が格段に落ちる。

 砲撃の威力の前に何本かまとめて千切れ飛び、モルゲンステルンの巨体が傾いた。


「これもプレゼントしよう!」


 ハクウ高機動改が腰に提げていた爆発物ソリッドクラッカーを掴み、下手したて気味に投げる。

 地面をぽんぽんと跳ねたそれらはモルゲンステルンの足元に転がり込み、そして炸裂した。


――ギィィィッ!


 徹底的に足回りを狙った攻撃が、狙い通りにモルゲンステルンの機動性を削いでゆく。

 ならばとばかりにモルゲンステルンは自ら速度を落とし、装甲とプラズマ穿孔スパイクを高速回転させる草刈り機モードに入った。


「なぁる、そこ狙えばよかったか! お次はどうする? あのプラズマはレールカノンすら防いじまう。ご自慢の戦車砲も通用しないぜ」

「横から撃つのがダメならこうするだけだよ」


 ミコトのハクウ重装改が戦車主砲を畳み、今度はストックに保持してあったグレネードランチャーを掴んだ。

 ボッ、ボッというやや間の抜けた音と共に榴弾が投射される。

 山なりの軌道を描いて飛んだ榴弾は見事にプラズマの回転刃を飛び越え、中心の胴体へと直撃した。


 リクが感心したように頷く。


「なぁんだ、頭上がお留守ってわけだ! こいつはいい、それじゃ俺も何かで……ミサイルあっるじゃーん! ミタマ、軌道設定だ。あいつの頭上で落としてくれ!」


 エクスカリバーの背面から連装小型ミサイルが次々に放たれ、上空で軌道を変えて落下。

 モルゲンステルンの胴体へと突き刺さった。

 

「わ、おもしろそう。でもあたしの向きじゃないけどー」

「しまったな。先ほどミサイルは撃ち切ってしまった」


 カイのアスカロンもミサイルを積んでいるが、遠距離攻撃向けの多弾頭分裂ミサイルであり、このような使い方に向いていない。

 クウのクラウソラスに至っては死にかけた時に在庫セールとして使い切ってしまっていた。

 なんとももったいない限りであるが、あの時は死を覚悟していたのだ。致し方あるまい。


 ――ギギギィ!


 前衛二機にいいように撃たれっぱなしだったモルゲンステルンが唸り、草刈り機モードを解除する。

 しかしこれまでとは違いすぐには射撃モードに移らず、わざわざフィールドの奥まで引っ込んでいった。


「なんだぁ? いまさら逃げるのかよ、だっせぇな!」


 リクの煽りが効いたわけではないだろうが。

 モルゲンステルンがふっと停止、その場にドスンと着地して。

 パキパキと装甲が開き内蔵された多数の火器を露わとしてゆく。


 同時、モルゲンステルンの周囲に残存する敵性存在が集結した。

 掘削ユニットの唸りが、装甲の噛み合う響きが、地面を掘削するドリルの騒音が、冷たい刃鳴りが重なり異様な旋律を奏でだす。


「うひょう! 敵も全力って感じだな!」

「行動パターンが変わった。海栗ウニ野郎も削れてきてるってことじゃない?」

「ここが正念場だろう。リク、まだいけるか?」

「いやちょっち厳しいな。エクスカリバーもだいぶガタが来てるし、こいつの射撃避けるの難しいんだよな」

「わかった、前衛を交代しよう」

「はいよろこんでー!」

「俺は引き続き最前線で暴れるよー!」

「ザコは私に任せて! ミコト君には指一本触れさせないから!」

「あーたーしーは~当たりそうなのに、テキトーで」


 : お互い総力戦!

 : ひでぇ景色だw

 : ぶった斬れ聖剣!

 : 野良の人もがんばれ!

 : カワイイは最強!


 五機のIBが布陣を構え、並ぶ。

 睨み合いの時間はわずか。

 ほんの一瞬、フィールドに静けさが落ち。


「それじゃ、突貫!」


 直後、示し合わせたかのように一斉に、双方動き出したのである。


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