怪談とは本来こういう類のモノ。

恐ろしくも秀逸な怪奇作品であると思う。
勿論これが フィクション であれば、
作者が意図的に書いた話であれば。もし
これが ノンフィクション の類であれば
絶望しか齎さない。

大学生達が、廃墟に肝試しにゆく。
それは至極ありがちな話で、もしかしたら
読者自身も経験した事があるかも
知れない、恐れ知らずの…或いは不用意な
イベント。
       ところが、この話は。

現場で騒いで盛り上がる。そして帰って
来てからも又その緊張感溢れる体験を皆で
追体験する。明るく安全で安心な場所で。

 だが、そう思っていたのに。

もし、現地で認識と追蹤とに齟齬があった
場合は…どうしますか?

それも全く予想していなかった、認識の
乖離。しかも想像していた以上の不可解。
恐怖。悍ましさ。不安と絶望感。

只、この話が本当に怖いのは。

 それだけ だという事。あれ程の異常な
出来事を確認しても尚、何事も起きては
いないのだ。

    そう、 今のところ は何も。