キャラクターカフェは反社の象徴

白川津 中々

◾️

子供がどうしても行きたいと言って聞かないので不本意ながら期間限定のキャラクターカフェへと赴いた。


店外ペイントには猫だか熊だか分からん謎の動物。線もガタガタだし何がいいのか知らんが、店前にできた行列を見てその人気を察する。若い奴の感性が分からん。

食い物屋に並ぶのは癪だが、渡された整理券を持って仕方がなく待つ、待つ、待つ。苛立つ俺とは反対に子供は笑顔。時の重さを知らない、呑気な表情だ。




「45番の方ー」




40分の待機。あまりに生産性なく無意味な時間を過ごしようやく入店。水もあつしぼも出てこない。メニューを見るとミィキュ(キャラクターの名前である)ハンバーグプレート2000円。高い。他の商品もドリンク1500円、スパゲッティ1800円と軒並み強気の設定。しかもクオリティが低い。なんだこの舐めた価格設定は。金は商品対価として支払うものだ。こんな明らかなぼったくりをよしとしてはいかん。




「帰るぞ」




そういうと、子供が一瞬きょとんとしたので、もう一度、しっかりとした声で「帰るぞ」と伝える。途端、「なんで」と涙ぐむ。先までの笑顔から一転。悲嘆。憐憫が湧かないわけでもない。だが知らん。こんな阿漕で反社会的な凌ぎをしているところに金を落としてはいかん。嫌がる子供を強引に引っ張り出して退店。そのまま帰路に着く。


子供はずっと泣いていた。何を言っても返事はなかった。いずれ分かってくれるだろう。それまでは、涙に汚れて過ごしてほしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キャラクターカフェは反社の象徴 白川津 中々 @taka1212384

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ