タイトルの通りの作品

自殺する人の感覚が9つの段落に分けてすごく丹念に書き込まれている。

もし読むに困る人がいたら、そのまま読んで感じることが正しい読み方だと思います。

私が特に苦しく感じた部分は2で扉をくぐろうとした時にそれまで関心のなかった全員がこちらを見るシーン。自殺する人の視点で見た他者がよく表現されていて心にきました。それまで楽しいことに夢中で関心の一つも寄越さなかったのにいざいなくなる時には凝視される。それが怖い。見事に自殺を決めた人の視点で惹きこまれました。作者さんはご存命で自殺されていないはずなのでテーマに対して想像し尽くしたからこそ書けるものだと思います。体験し得ないものを表現する。すごく良いです。

段落の出だしの畳から始まってゆっくりと宴会場になる表現も、廊下の奥でいちゃついていた男に道を尋ねてよくわからないことを言うところも、他の段落もあれこれ語りたいですが長くなるので割愛します。

次回作も楽しみにしております。

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