僕らは博士の発明品
藤影秋斗
ああ。世界の美しさに憧れて息絶える喜び。
それは狂気の発明品だったのかもしれない。その子達はいつでも発明品としての人生を全うしていた。幼き少年少女たち。ああ、無情なこの世から誰が救うのやら。
「新たにクライフ博士の元で開発された人工新人類は、精巧に人間のDNDを
再現したまさに新たな生物! 人間を大量生産というSFたっぷりの世界が今、目の 前に!」
ニュースキャスターが大声で叫ぶように、この訳もわからない情報を伝達していた。
世界中で報道されたこのニュースは様々な議論を巻き起こすだろう。
SNSでの叫び声が聞こえたり、そんなものに興味を持たず、必死に働きに出たり。
そんな忙しないこの現代に降り立つ少年少女たちは何も知らず、地獄に飛び込む。
人工新人類。
まさに狂気の発明だった生物たちは、世界中で労働力として使われるようになっていた。
人工減少で働き手が急激に減り、危機的状況に陥るN国もまたこの生物たちに救いを求めていた。
「この人工新人類はまさに悪魔の発明品の一つになるだろう。頭脳はAIにより、人間もはるかに超えている。また運動能力も素晴らしいものを持っている。
しかしロボットでもいいじゃないかという意見もあるが、こいつらは人とのコミュニケーションを得意としている。また成長し覚えもいい。完全人間の上位互換的存在だ。
我々はこの、人工新人類を使い、介護業界やN国文化の継承、中小企業への人手不足の解消に大いに役立ってもらいたい。もうそれしか生き残る道はない!」
ある議員の発言は物議を呼んだが、もうそんなことを言っている暇はN国になかった。
圧倒的な超高齢化社会であり、日本崩壊寸前とまで言われる事態だ。
議会では、早急に判断が求められ、人工新人類に助け舟を求めることが決定した。
この判断が吉とでるか凶とでるか。誰にもわからなかった。
人工新人類を某国から大量輸入し、一から教育。
N国中に送られることのなった。
それからそれから十数年後。
「なあ。俺たち。実は発明品だっていう噂があるらしいぜ。」
「えぇ?どういうこと??」
精神年齢幼めの人間?が囁きながら会話している。
この二人こそ、某国からやってきた新人類たちだ。
これまでのことは教えられていないらしい。
「私たちは、遠い親戚さんのために働いているんだよ。馬鹿なこと言わないでよ。
「いやまじで聞いたんだよ。こそこそっと。実はこの仕事をするために生まれてきたみたいな?」
「は?まじでふざけないでよ。さあもうすぐ奉仕の時間ですよ」
「わかったよ。だから嫌いにならないでよ
二人は仕事場に向かった。
N国はある独自的な教育を行なっていた。
最初にきた人工新人類たちに、新たな名前を授ける。
そして、ある親戚さんのために働くことを強く覚えさせる。
これだけならよかったかもしれない。
しかし、N国は恐怖教育を施していた。
このことは国民に知らされていないものだ。暴力、暴言を浴びせ、地位を確立させた。まさに奴隷のよう。
仕事は奉仕として、休みは睡眠時間のみ。
人間よりも優れているものも、体も心もボロボロになっていた。
それほど、N国は追い詰められていた。
「おい!あいつらどこ行きやがった!もう時間なのに」
「はーーい!ごめんなさい。少し遅れました」
「へーーい。まあまあそんな怒らなくても。一分過ぎたくらいd」
どしっ!バキバキ!!ぐががががが!!!!
痛みが音として耳に伝わる。
「おいコラ!お前ら!働かないとこうだからよ!」
「ちょっと!?晴人?大丈夫?」
「っく!何すんd」
「だめ!大人しくして!」
彼、彼女らにとってここは地獄だったようだ。
「くっくっく。女の方が使えるなぁ!お前殺してもいいんだぞ!」
これこそまさに恐怖と痛みで支配するこの国の政策方針である。
「さあ働け! 君たちは私たちのおかげで生きているんだから」
それから休みなしで12時間労働だ。
この子達の仕事は、とても危険である。
それが新たなエネルギー装置の安定化のための開発である。
N国が発見した莫大なエネルギーは普通の人間の何倍もの毒エネルギーを放出する、
危険レベルMAXの核電子原子力発電である。
世界初の発見だが、意見すぎるため研究は難航していた。
諦めようとした。でも。
「もうやるしかない!」
そういうとエネルギー装置をフルパワーで作動!
熱を帯び、世界中へ放出。
核をも超えるこのパワーで世界を滅ぼした。
それからのこと。
博士と再会した少年少女たち。
「博士ーー!」
旧人類がいなくなり、新人類たちの世界が始まった。
僕らは博士の発明品 藤影秋斗 @UkyouYaezakura
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