小さな嘘

緋那真意

真実の裏で嘘は生きている

嘘つきが捕まった。

だが、その中身はわからない。

どんな風に人を騙し

人はどのように騙されたのか

何ひとつ分からない。


ただそれが嘘であることだけが

無秩序に広がっていき

嘘とされた言葉のみが死に果て

騙された人々には不信感だけが残された。


嘘をついたとされる人は沈黙する。

もう言葉は戻ってこない。

あるのはうっすらとした憎しみと

理解できない言葉への失望

そして声無き声への恐怖。


騙した人も騙された人々も気づかない。

世界に人はなく間に残された時の流れに

取り残されていることに。

嘘をついた、と嘘を付く

小さな破滅を繰り返し

物語は終わりを告げた。


「で、いま君はどんな風に嘘をついている?」

「生きているのに死んでいるということですよ」


くだらないね

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小さな嘘 緋那真意 @firry

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