第2話 リメイク
2日前、ここで迎え火を焚いた。早く帰ってきて欲しくて、精霊馬も、バイクに改造しておいた。しかし、時間の流れは早いもので、あっという間に送り火を焚く日になってしまった。
三浦の気配を感じることもあった盆が終わってしまう。
そしたら次に会えるのはいつになるのだろう、きっと、また来年になってしまう、
それがどうしても嫌で、送り火の準備をしながら、ボロボロと涙がこぼれた。何度も親に、変わると言われたが、これだけは譲れない、
大好きだったんだから、誰よりも彼が、
自分の何を犠牲にしてでも彼をすきでいたのだから。
送り火に火をつけた時、何処からか声が聞こえた。
聞き覚えのある声より、少しだけ優しい声だった。
「相変わらず泣き虫は治ってねぇのな。」
ふと目の前を見ると、元気な時の姿の三浦が立っていた。
服も、最後見た白装束じゃなくて、いつも来ていた白いパーカー。出掛ける時も、大事な話をする時も、いつも来ていたパーカーだった。ふわりと香る男物の香水の匂いまで、全てが、かれだった。
「誰かさんのせいで、」
必死の抵抗で反抗するが、それも長くは続かなかった。
遂に目の堤防は決壊し、とうとうポロポロと涙がこぼれ落ちる
こぼれる涙を拭いながら目の前の彼と対峙する。
「また来年な。」
そう笑うと、彼は強く僕を抱きしめた。
強く強くまるで今生の別れかとでも言うかのように。気がついた時、暖かかった温度は、どこかに消えてしまっていた。
そしてふと目を開けた時、そこには誰もいなかった。彼との思い出が走馬灯のように駆け巡る。
「お前に30まで旦那いなかったら貰ってやるよ。」
昔そんなことを言われたことを思い出した。
言いようもない悲しみが溢れ出す。恨み言も、言いたいことも沢山あったのに、口から溢れるのは意味を持たない泣き声だけ。
「うそつき、」
ようやく呟いた言葉は真夏のジメジメとした熱い空気に、溶けて、綺麗さっぱり消えていった。
きみのため @mtjapngjtgawj
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