これも、暑すぎる夏の呪い?異世界裁判の最高刑が、おかしなことになっています!
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 いやらしいなあ。「暑い!この暑さから、解放してあげよう」そこで、裁判長が男に言い渡した刑が…!
「暑さから、気持ち良く解放されたい…」
異世界の夏裁判が、アブナイことになっています!
ここは、異世界裁判所。
「…まさか、あんな良い人が」
裁判を聞きにきている皆が、ざわつく。
「気の毒に」
「罪を犯すような人じゃ、ない」
「想定外のトラブルが、起きてしまっただけなんだろう?」
その通り。
今裁判にかけられている男は、悪人と口論をし、不運にも「殺人事件」に巻き込まれてしまっただけ。
「この男なら、無罪になるだろう」
裁判所にいた者のほとんどが、そう信じていた。
が…。
気が動転して落ち着かないその男には、最高刑が下されることになる。
「判決。この男を、聖水ふりかけ刑に処する」
これには、びっくり。
「本当か?」
「なぜ、聖水ふりかけ刑?」
「凶悪モンスターも黙る、最高刑だぞ?」
男は、だれかを憎んで殺すほど悪い心をもっているとはいえないと、裁判長も感じていたはず。
なのに、なぜ?
そのとき、裁判長が変わった一言。
「今日も、暑いですからね」
さらに、裁判を聞きにきていた人たちに一礼してもう一言。
「本日、この裁判をお聞きになっている皆さん?申し訳ありませんが、ご退廷ください」
その部屋は、裁判長と何人かの裁判官、男だけがいる部屋となった。
「男よ、目隠しをしなさい」
「…わかりました」
裁判長の命令で、男の目に、黒い布がぐるぐると巻かれはじめる。
「いきますよ!」
裁判長らは、一体、何をおこなうのか?
「…ああ」
目隠しをされた男の顔が、おだやかになっていく…!
「な、何だ…?今、とても気持ち良いぞ。何も、見えないが…」
目隠し姿の男の頭に、聖水がふりまかれ続ける。
「気持ち良い…」
裁判長は、こう考えていたんじゃないか。
「聖水をふりかけて、猛暑から男を解放してあげよう。冷静にさせることを、男の罪滅ぼしとする!」
やるな!
裁判長は、やさしかった!
冷静になっていく、男。
「生温かい聖水も、良いもんだ。こんな猛暑にはな…。だが…」
首をかしげる、男。
「今かけられている聖水って、変わったにおいだな…」
たまらず、男は目隠しを取ってしまう。
「あ!」
そのとき、男が見たのは…!
裁判長と裁判官たちが、ズボンのジッパーを上げはじめた姿だった。
きったねえ刑だなあ。
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