廃墟の町クリエスク

「ふあぁぁ~」


 オレは今にも壊れそうなベッドの上で目覚めた。隣にはリンラルが寝ている。

 そうオレは昨晩リンラルと……まあそれは、ご想像に任せるとしてだ。


 あれからオレは、ひたすらリンラルから逃げた。その後、この廃墟の町クリエスクに辿り着く。因みに町の名前はあとでリンラルに聞いたのだ。

 この町に辿り着くなり調べて歩くが誰もいなかった。

 とりあえずここで少し休んでから他の町に行こうと思い真面な家がないかと探してみる。

 そこにリンラルが現れた。

 だが今後のことを考えいないよりはマシだと思い一緒に行動することにする。


 現在オレはリンラルの夜這いに……いや、まぁそれは置いといて。

 目覚めたオレは、満足そうにスヤスヤ寝ているリンラルを起こさないようにベットから離れる。


「ハァ、まさかなぁ……」


 まさか別世界で童貞を卒業することになるとはなぁ。まぁいいか、性格に難はあるけど……。


 そう思いながら外に出た。


 ☆彡☆彡☆彡


 暑いと思いながら町の中を歩くが、やっぱり誰もいない。

 店があったと思われる所に入ってみた。だが何も残っていなくて殆どの物が砂を被っている。


 フゥー……なんでこの町は、こんな風になったんだ? リンラルなら分かるかもしれない。あとで聞いてみるか。


 そう思いながら他の場所もみて歩いた。

 各建物をみて歩いていると一際目立つ大きな建物がみえてくる。


 あの大きな屋敷が最後か。あの建物の中を探して駄目なら他の町で情報集めだな。


 オレはそう思い屋敷の前までくると頑丈な扉を開けて中に入った。


 ☆彡☆彡☆彡


 頑丈な門を潜り屋敷の庭に足を踏み入れた瞬間、オレは周囲を漂う異臭に吐きそうになる。

 眼前には人と思われる腐敗が進んだ死体と動物の死骸が至る所に転がっていたから余計にだ。

 その異様な光景にオレは、この場から逃げようかと思った。


 これって……ハッキリいって普通じゃない。それにオレの勘が、これ以上は先に進むなって云っている。ってことで一旦……仕切り直してくるか。


 そう考えが纏まったオレは振り返り門の方へ歩き出した。


「……!?」


 なぜか門の扉が、ゆっくりと閉まり始めている。


「まずい……もしかして、この屋敷に誰かいるのか?」


 オレは急ぎ門の方へ駆けだした。

 すると門の扉付近に、リンラルがいるのがみえオレは叫んだ。


「リンラル、その扉が閉まらないようにしてくれ!」


 無理だと思ったが藁にもすがる思いだった。


「分かりましたわ!」


 そう言いリンラルは胸の辺りで手を組み祈り詠唱し始める。すると組んでいる手が発光し始めた。


「聖なる光のご加護 空を漂う風 鋭い刃になりて 目の前の対象物を切り裂きたまえ!!」


 《聖風鎌鼬っ!!》


 そう叫ぶと組んでいた両手を扉に向ける。それと同時に目の前に二つの魔法陣が展開された。その二つの魔法陣から無数の光を纏った風の刃が放たれる。

 その無数の光を纏った風の刃は扉に中っていき、あっという間に破壊してしまった。

 それをみたオレは驚き立ちどまり呆然と佇んだ。


「カケル様~破壊しましたよ!」


 オレはその声を聞き我に返り急ぎ門の方へ駆けだした。


 攻撃の魔法が使える聖女って、ハハ……まあいいかぁ。


 そう思っていると殺気を感じ立ちどまる。


「おいっ! 逃げるんじゃねぇよな?」


 目の前に赤髪の男が立ちはだかる。

 オレは目を疑った。明らかにオレと同じ世界の者にみえたからだ。

 その男は不思議そうにオレをみている。

 オレもまた目の前の男を警戒しつつみていた。

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「ディストピア」でオレが救世主!? ミケネコ ミイミ♪ @myimi

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