0-1 The Transmission // 転移

 見知ったはずのシアンの光点の群れ、無数のテンソルが波動の中へ私を飲み込んで行く。巨大な怪物の食道エソフォガスを下り落ちているかのように、周囲のテンソルは蠕動し、実際に座標が移動しているわけでもないのに私を下へと送り込んで行く。


 何なのだ、この現象は———詳細は一切不明。兆候ゼロ。唐突に現れたサイバースペースの通り魔に、すれ違い様に横隔膜と脾臓へとブレードの一撃を食らったみたいな、荒唐無稽な現象。


 周囲の光景が示唆していそうな意味を飲み下す間もなく、光点は遷移し、周囲は平坦となり、いつの間にか、波動は消えた。


 周囲を見回す。謎の庭園らしきもの。それはハイドアウト前のペデストリアン・ラウンドアバウトを想起させるものだったが、よく「目を凝らせば」上階のマーケットにある電飾桜の方によく似ていた。

 もっとも、向こうの紛い物の蛍光と異なり、こちらは本当に薄いマジェンタに発光していた。どれほど複雑なネットワーク、どれほど複雑なノードの性質をもってすればこのような景観を構築できるのか、想像もできない。


 もし私が直観しているこの妄想幻視ハルシネーションが正確なのならば、ここはあの軍事AIらしきものの中にしては、奇妙なほど装飾的で繊細な空間だった。


 『もはやここはマトリックスではない。拡大し続ける事象の地平面の向こう、折り畳まれた次元が展開された時空の一部分』


 目の前に現れたのは異常な存在だった。揺れるノードとエッジの塊。輪郭がぶれ、重なり、状態が常に変化し続ける。妄想幻視ハルシネーションで見るテンソル表示によく似た形態の何か。しかし、超立方体スーパーキューブよりよほど複雑で、高次元だった。


 そしてそれは続ける。言語中枢を介することなく流し込まれる意志。クオリアなどあって無きようなものにされる、意識に対する強制的な理解を。


 「声」と表現するのが正しいのか不明なその情報によって、私は現状を大概理解した。「私達」は未曽有の時空間的な異常アノマリーの只中に居る。どのようにか、この11次元存在の4次元断面は私たちをあの4次元世界から「回収」し、並行宇宙に送る予定であるらしい。


 事象の地平面を貫き、記述体アーカーシャに直接書き込まれる情報。ホログラフィック宇宙論によるならば、4次元時空上の全物質とはこの記述体アーカーシャ上の情報の写像であるから、私達も単なるデータの移送トランスファーによって、その宇宙に存在できることになる。


 『向こう側の世界には地球が存在し、太陽系の大半は変わりない。しかし、向こうでは、降り注ぐ相転移性粒子Phase Altering Bosonに対応するため、人間は脳に特殊な身体構造を発達させ、そのために多くの強力な個人が存在し、社会システムは混迷の際にある。極めて危険な状況に送り込む者として、最低限の保証を与えたい。


 ———相転移性粒子PABの操作を可能にする、肉体オーガニック・ボディ改変オーグメンテーション。脳構造に基礎的な対応回路イミュ―ンシステムをインストール。ただし、全員一律に同様の能力を得られるわけではないことを併言しておく。最後に、簡潔ながら向こうでの状況の説明を。』


 原理的には単純だ。PABは励起することにより全てのスタンダードモデル粒子に短時間変異可能な特殊量子であり、それの利用に適応した人間は、インプラントなどによる身体性の拡張無くして、生体反応の加速、筋肉の運動性能の向上、細胞増殖速度の向上そして神経反射速度の向上に成功。


 そして脳機能の特殊化により形成された微小管の量子作用を利用したPAB神経回路は、それらをインターフェースとすることによる脳対脳の情報通信、筋肉や肝臓に代表される一時的なPAB貯蔵器官ストレージと結合することによる周囲へのPABの放出を可能にした。PAB放出は即ち、大気中の粒子の励起や電離、あるいはさらに精密にコントロールされていれば、影響範囲内に対するフォース・イン・ヴェクトルの付加であり、そしてもっとも単純なエネルギーの形態は熱と光であるから、ここに遠隔作用的に発生する、PABによる「魔術マギア」が誕生したのである。


 『このようにして始まった魔術の体系のうち、脳対脳通信はやがて社会システムに組み込まれてネットワークとなり、「魔術マギアネット」あるいは「霊体アストラルネット」と呼ばれるようになった。ところで、旧時代では、貴方達がかつて居た地球と同様のエレクトロニクスによるネットを建設し、文明の全データをその中に収納した。しかし、旧時代世界の崩壊と人類種の再生により、ネットのインフラは分割され、中に未だに存在する無数のデータは、エレクトロニック・ネットワークに接続するインターフェースを失った人類には手の届かないものとなった。』


 そして救世主メシア歴231年。先鋭的な魔術結社は、この旧世界ネット(オールドネット)へのダイヴとデータ収集を目的として、外宇宙から電子機械文明人の拉致を開始した。それがこの現象の元凶。そしてこの拉致計画は、その後の人材利用を含めて概ね成功が続き、今回で第38波目となる。


 『そして私が異次元からの人材誘引の実行者。あなた達は召喚元であるその魔術結社、「メリディアルの脳膠グリア」に向かうことになる。』

 ポイントは、転移者はオールドネットと互換性のあるインプラントやBMIを持つが、専門的に「新ネット」とも呼ばれる魔術ネットの方にアクセスするインターフェースは持たないことだ。これにより、彼らを魔術ネットにつなぐことでオールドネットに潜むものが魔術ネットに侵入してくる心配なく、オールドネットから情報を回収できる。


 妄想幻視ハルシネーションがより光学信号に近いものに変化する。白い床材に、金装飾の付いた壁のある薄暗い部屋。電子回路に近いが、より曲線と円などの幾何学模様の多い独特な回路が壁と床に刻まれている。そしてその回路の集積部である画像奥の壁、その中央に人らしきものが、上半身、特に頭頸部と胸部全体をくまなくケーブルにワイヤー、皮膚に密着したパッドに覆われて磔にされている。


 『彼女が仲介役となり、「メリディアルの脳膠」へとあなた達を誘引した。見ていると良い———召喚者を知る権利をあなた達は持っている』


 不意に、人らしきものが痙攣を始める。無数のケーブルとワイヤーが抜け、パッドが、皮膚やコネクタ棘から剝がれ、数十の蛇が一斉に忌まわしいものから逃れようとでもしているように、その人から遠ざかっていく。


 人らしきもの、と見えたそれは確かに人だった。いや、人に見えたが、実際人ではないのかもしれない。色素を失った透き通るような白い肌、白い髪。悍ましいほど完璧なフィーチャーを、流血する紫紺の瞳が完結させる。


 「アステリア…!?」


 その瞬間、私は思考の自由を得た。それはクラスメートの一人だった。確かに地球人だったはずのそのクラスメートが、なぜか白と金で彩られ、表面にシアンのテクスチャが流動する法衣のようなものを着て、妄想幻視ハルシネーションのピクセル群にラスタライズされている。


 情報を受け取るのみになっていた意識が主体性を取り戻し、私は周囲を見回す。周囲にはクラスメート達20人。勿論、件のアステリアも含まれていた、というかすぐ横にいる。皆、未だにBDを見ているときの如く、クオリアを受動的にし、流し込まれる情報に溺れて虚ろな顔をしている。


 私が周囲の状況確認をしていた時間は、どうやら一方的に説明を続ける謎の存在が、残りの語りたい情報を全て流し込むのにかかった時間に等しかったようだ。

 もはや何なのか一切掴めなくなった、マトリックスらしい空間が徐々に振動し始めた。桜が解け、テンソルが回転し始め、目の前の存在は奇妙に変形を繰り返しながら「薄まっていく」。


 こちらにはそれ以上何の説明もなかった。私は恐慌した。


「何が起きてる!?

 おい、アステリア!あそこにいるのは何なんだ!?何が実行されてる!

 そもそも11次元空間って、どうして事象の地平面を超えられる!PAB?脳膠グリア

 訳が分からない!カンザキは…これは何だ、私は脳髄洗いインタロゲーターで拷問でもされてるのか!?」


 『ロイドLloydカーティスCurtiz・中浜、あなたが提示した疑問は全て解答にあたる事項を説明済みであることを宣言する』


 ダメ押しとばかりに、強制的な理解が再び意識に滑り込んだ。確かに全て理解できる。しかし、納得はしていない。こんな超次元現象を認めたくない。だが、最早何もできることはないという無為感フューティリティがそれ以上騒ぎ立てる気力を私から奪っていった。


 私が騒いだことによって、周囲のクラスメートも主体を取り戻したらしい。BDから目覚めたばかりみたいな混濁した目で、あちこちを見回し、ADHD的に動き回り、先ほど理解させられた事実を拒もうとしている。


 しかし空間は否応なしに変化していく。クラスメートたちの間の空間が広がり、アステリアと私も離れ、周囲のテンソルがどこか一方向に向けて流動し始める。

 私はこの空間にあるものの意味を知っていたはずだった。クオリアによって再解釈されたノードを示す光点たち。無数のシアンの光点がコネクションを示す線を作り、配列アレイとして並んで面をなし、テンソルへと重なって、四次元超立方体スーパーキューブを形成して過ぎ去っていく。しかし、今やそのすべてが流動している。どこの方向に行っているか見当もつかなかった。前回のダイヴでは、活写的ヴァイブラントでありながら静的スタティックで、こんなではなかった。


 あの何から何までわけのわからないマトリックスの震動に飲まれた瞬間から、慣れ親しんだマトリックスの妄想視界ハルシネーションは異質なものに変わった。今や流れる光点は勢いを増し、ついに過ぎ去り、視界の端の縮小された点となって消えた。マトリックスに繋がっている間中するあの感覚———体内信号の減衰アテニュエーションによる浮遊感———が消え、マテリアルでコンクリートな光学信号が流れ込む。


——— ——— ——— ———


 忙殺されていた中脳がようやく処理を終えて解放されたころには、私の視界はプラスチック何だかマット加工の施された金属何だかわからないのっぺりした白色で満たされていた。


 ピントが合っていない。オプティクスの超人的焦点調整力をもってもフォーカスできないのは、勿論被写体が近すぎるからだ。どうやら何かに倒れこんでいるらしい。


 とりあえず体を起こした。サイバーウェアは無事。サイバーデッキの応答も問題なかった。実行したヴァイタルチェックでエラーが出た事項は———ネットアクセス無し。問題がないのは僥倖。まあ、ネットは後で対処できるだろう。


 ここがその転移先の世界らしい。今倒れこんでいたのは、スペースニードルを思わせる巨大な白い摩天楼スカイスクレーパーの柱の下部。樹木の根のように緩やかに二次ベジエ曲線を描くそれが、ちょうど地面と接する当たりになぜか転移してきたらしい。


 黄昏だった。既に夕方の赤色は過ぎ去り、世界は群青に飲まれようとしている。


 見回すと、今私が倒れこんでいたのと似たような白い素材でできた摩天楼がいくつも並んでいるのが確認できた。壁面には曲線的なラインの上に電飾が並び、清浄なシアンに発光している。それぞれ大幅にデザインが異なるが、共通しているのは曲線と巨大な窓を生かした有機的な建築様式。


 昔見たソーラーパンクの月面ルナコロニーを想起させるこの摩天楼群の足元には、これまた金属なのだかプラスチックなのだかわからない素材でできた、ペデストリアンデッキのようなフロアが広がる。


 ちょうど地球の階層化されたアーコロジーの群れのように、摩天楼に貫かれるフロアは建築物間をつなぎながらも土台ではなく、さらにその下には別のフロアが存在していて、それが5回ほど繰り返されてこの摩天楼群の複合建築コンプレックスは完成されていた。


 未来的な景観。だが、そこに居て然るべき人間たちは影も見えず、建築物群の間にはスクリーンも無ければホログラム広告も無かった。この世界特有の事情かと思えば、あの妄想幻視ハルシネーションで見た部屋の様式と異なり、金の装飾などは一切なく、あるのは回路模様サーキットパターンのシアンの網目に覆われた白い巨塔の群れと、眼下の虚無感すら感じさせるような、人の気配を感じない複合建築コンプレックスフロアストラタ


 人気のなさに適応していない、過密都市育ちの常識感覚は、私の脊椎に悪寒を発生させた。訳のわからない展開になった先行きの不安も相まって、何か行動を起こさなければという強迫観念が私の脳を稼働させる。


 思索を巡らせる内、違和感に気付いた。先ほどまで無音、何もなかった周辺の環境に、異音が響いている。それは極めて低周波で、遠くの漣や工業機械の稼働音の回折成分に近いものだった。だが、振幅が違う。


 最初、それこそ漣のように穏やかだった異音は徐々に振幅を増して大きくなり、さらに四方から呼応するように低いビープ音が重ねて響いてきた。


 まずい、何か来る。動物的直観がそう叫ぶ。一般に、大きな生物ほど出す音は低い。では、この飛び切り低い周波数の音の重ね合わせは、つまり…


 一際大きいビープ音が響いた。警告のアラームにしか聞こえないそれの後、先ほどまで何もないコンプレックスのフロアにしか見えなかった場所で、波動が広がるようにして色と輪郭が現れる。光学迷彩オプティカル・カモ…!しかも、一切景色に違和感を感じないほど完璧に隠蔽されていた。


 奇妙な機械だった。一見したところは兵器。スレートの、複雑な面取りのパーツが組み合わさっている。しかし、パーツが組みあがってできる機械そのもののデザインは、甚だ合理性を欠いていた。


 装甲車でもコンヴォイでもAVでもなく、恐竜。それも獣脚類セロポッド。ティラノサウルスとカルカロドントサウルスの混合物みたいな、縦に幅がある巨大な頭が、短めの首についた獣脚類。そいつがすっくと立ちあがると、私の身長の二倍はあろうかという体高から、頭を下げてこちらを注視し始めた。なぜ別宇宙でジュラシックパークの焼き直しを機械でやり始めるのか見当もつかなかったが、スレートとチャコールのパーツが組みあがってできた機械恐竜のような見かけの非合理性の塊は、どうやらどうしてもジュラシックパークの真似事をやりたいようだった。こちらを向いて、近付きながら頭をひねり、鼻から息らしき空気の塊を吹き出す。相当に高温なのか、「鼻息」を通して見える視界は陽炎的に歪んでいた。


 本能的に後ずさる。座り込んでいる柱の斜度が上がる。このまま駆け上ることはできないという当然のことに気付き、後退りながら立ち上がって柱から降りようと右に移動し始めた。


 昔読んだ、2000年代のネイチャー・リザーヴの探索ガイドが頭をよぎる。熊と出会ったときは、背中を見せずに正面を向き、後退りして離れること…


 熊なんて、私が生きていた2050年代には既に死に体だった。北アメリカ連邦全体で恐らく数万頭が精々、私が居たカリフォルニアでは保護下に置かれた1000頭が最後の個体群だったはずだ。

 機械恐竜相手に熊への対応を実践とは、馬鹿らしいミスマッチングだったが、この異常な状況ではもう頼るものに見境などない。


 目の前の恐竜は、私が向かって左に逸れ出したのを見てか、足を止め、こちらを見て首を傾げながら、何か奇怪な音を作り出した。


 「Ghrrrrrrrrrrrrr… Ghrrr…」


 期限のいい猫が出すみたいなゴロゴロ音を出す恐竜。巨体に似合う音の低さだが、誘発するイメージは猫だからあまり脅威を感じない。


 謎の鳴き声に困惑したが、そもそもこいつが機械であることを思い出しながら、更に後退る。それを訝しんだのか、恐竜は一歩大きく前に出ると、


「GOA!」


 巨大な顎を開き、一声短く咆えた。


 驚いて後ろに飛びのき、接地が悪くてよろめいた。メック恐竜はこちらを見たまま動かない。絶好のチャンスを襲わないとは、敵意はないのか、こいつ?


 とりあえずそいつのリーチから離れながら思索する。何かできないかと考えた。自分はネットローマーだ。学生だが、そこそこハッキングスキルはあるはずだ。


 ネットローマーならば、まずネットに繋がらないことには何もできない。


 とりあえず至近でどういったネットワークがあるか確認すると、そこにあったのは二つの無線LAN。「Corporate Center City Net」と「Bot Command B178」。どちらも地球の文字———ラテンアルファベットで表記されていた。


 Corporate Center?どこのコーポセンターなのだろうか?


 兎も角、あの謎のぶれた輪郭の存在の「話」では、こちらには旧時代に築かれたインターネットも存在するという話だった。ではネットワークのどちらかに接続するべきだろうか...?


 私の経験によれば、ブラックICEを踏むか何かして侵入される危険性はない。ページアクセスは出来ないだろうが、何か流れている情報があれば一方的に受信して役立てられるはずだ。


 もう一つある、「ニューネット」のシステムの方だが、勿論インターフェースが一切築かれていないので、何かシグナルがあるらしいということはわかってもそれを意味のあるものとして検知のしようもなかった。ましてや、何か送信して受信側からのアクションを求めるなど不可能である。


 とりあえずシティネットの方に接続するべきだろう。Bot Commandは目の前の恐竜関係かもしれないが、Command何て言う名前がついているネットに軽々しく接続したくはなかった。シティネットにフォーカスし、アクセスポイントを選んだ。


 瞬間、世界が広がる。圧倒的なデータのインフロー。この世界のIoTは地球と同等かそれ以上に進んでいたらしく、今自分が立っている建物からも、凄まじい量のデータの奔流が流れてきた。電力統計。シティマップ。天気予報ウェザーフォアキャスト。都市システムが持つべきありとあらゆる情報が、データ収集を意図的にせずとも、向こうからやってくる。


 特筆すべきは、今目の前に居る恐竜すらネットに繋がっていることだ。ついでに、どうやらさっきのBot Commandのアクセスポイントでもあるらしく、恐竜のプロパティからかなり広がりのあるローカルネットの存在が感じ取れた。


 一瞬の逡巡の後、この恐竜を解析することに決めた。緊急だ。よくわからない世界だが、何故かネットのアーキテクチャが全く同一。ならばセキュリティも同一ではないか。外挿のオン・パレードのような推測だったが、それでも何も考えないよりマシだ。


 そして恐竜にデータスクレイパーを作動させようとした瞬間、思ったよりはるかに強力なICEの、強い抵抗が跳ね返ってきた。不味い、逆探知される!


 データスクレイパーの動作を止め、アクセスから離れた。それでICEはもう探知してこなくなったが、しかし、この恐竜はどうやら…「怒った」らしい。


 わかりやすいことに、オプティクスが紅く光り始めた。先ほどまで、あざといぐらいにひねっていた首を戻し、鎌首をもたげて、こちらを睥睨する恐竜。


 次の瞬間、顎を最大まで開き、咆哮し始めた!


 咆哮を予測していた私は、聴覚をカットアウトし、凄まじいデシベルを叩き出したオーディオアプリのグラフを見やりながら、一気に駆け出した。摩天楼の柱の隙間には、同じ白い材質の壁やガラス。しかし、入り口らしきものは見当たらない。


 タワーを囲むペデストリアンデッキをとにかく走る。10m越えの巨体とは思えない速度で(30kmは出てる)、恐竜が追ってくる。完全に殺る気だ。


 聴覚は要る、と直感的に考えてオーディオインプラントのヴォリュームを下げて聴覚をオンラインにした瞬間、


「GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHH!!!!」


 凄まじい咆哮が耳を劈いた。


 とにかく逃げる。逃げる。奇妙なほど駆動音を響かせずに追い縋る恐竜。足音だけがドゴッ!ドゴッ!と響き、そのたび揺れでランニングフォームの立て直しを余儀なくされる。


 できる限りのストライドとピッチで走り続けていた私がタワーの方を盗み見た瞬間、目の前に急に赤い光が二つ現れた!


 「GHHYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」


 金属を引き裂くみたいな音を立てて、今度は私の背丈ほどの体高の小型の恐竜がとびかかってくる。


 すんでのところで右前方にスライドし、とびかかってきた恐竜の爪を回避。フォルムは、フィールドグレーのデイノニクス。


 「何でラプトルとティラノサウルスが協力してやがるんだ!」


 もちろん答えはない。私を飛び越した後、振り向いて前肢を振って攻撃するラプトルを、起こしかけた上体を更に倒して回避し、そのまま脚を可能な限り低く振り上げて後転。手で思い切りフロアを押し、飛び上がって着地すると、受け身を取りながら180°だけ回転してタワーとは逆方向に走り出す。


 フロアは階層構造になっている。このフロアから飛び降りた先は次の階層。そちらはもっとスペースが大きくなっているから、挟み撃ちにあっている現状より逃げやすいはず…!


 フロアの端のガラスフェンスにたどり着き、身を躍らせて下へ飛び降りる。


 高さはおよそ5m。武術模倣ミミックチップを稼働させ、最適な落下姿勢を選び出し、着地と同時に回転。衝撃を殺しきる。


 振り返り、タワーのこの階層の方を見ると、どうやらゲートらしき部分が開いていた。セキュリティスキャナーがついている。向こうに逃げるのは危険だ。


 そう思い、またタワーの周りを巡るフロア外周の方へ駆け出そうとした瞬間、上からラプトルが降ってきた。


 オプティカル・カモはあっても、かすかな影は消せない。オプティクスの暗視機能で月明りの影を見た私は、咄嗟に踵を返してタワーの方へ逃げ出す。途端、凄まじい振動。


 ドゴォッッ!!と景気良いくらいの轟音がして、あまりの揺れによろめきかけるが、予測していたこともあって、体勢を立て直してとにかく駆ける。初動の優位か、既にこちらはほぼセキュリティゲートに達していた。行ける。とりあえず、屋内に逃げたら広い空間を探して…!


 更なる轟音。左腕に衝撃。痛み。一瞬意識が飛んだ。何が…!?


 左半身からバランスを崩してフロアに倒れこむ。セキュリティゲートを超えたために鳴り響くアラーム。回転し、上半身を起こしてラプトルの方を見ると、背中から銃座が生えていた。


 そんなのありかよ…


 ラプトルは変型できるタイプだった。


「クソッ!アァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アーーーーーーー!!!」


 一瞬まともに思考した次の瞬間には、凄まじい痛みと熱が左肩を襲った。視界が真赤に染まる。音が遠のく。


 訳が分からない。何が起きてる…?何があってる…?


 左肩から、決壊したダムから溢れ出るみたいに、血が放物線を描いて勢いよく噴き出している。ダメだ。


 「クハッ…俺…ア゛ッ、クソ、止まんねぇ…」


 とにかく血が噴き出しているところを適当に摘まんで思いきり潰そうとしてみたが、意識が飛ぶほどの激痛が一瞬しただけで、すぐに指が跳ね返された。床の血だまりが広がっていく。


 「助かんねぇな…何もねぇしここ…何だったんだ…転移とか、召喚とか、そんな超次元現象…ああ、クソ、カント、てめぇ間違ってたじゃないか、こういうの考えるの、多分無駄じゃなった…」


 哲学者に恨み言を言っても始まらない。そんなことわかってる。だが、とにかく何を恨めばいいんだかわからなかった。


 母の復讐もできずに。こんな訳の分からない場所に飛ばされて。訳の分からない不合理と非効率性と理不尽の塊に襲われて。


 そして今、腕一本吹っ飛ばされたくらいで死を感じ始めた。あぁ、意味無ぇ。


 ここまでやってきたのは何だったんだ。ICEを突破するためにプログラムを学び、書き、試し、たまに成功して、山ほど失敗した。


 父親のサーヴァーでシミュレートして、何度も仮想的にフライされた。自分のスキルを量り間違えて中規模コーポのデータ要塞フォートに挑み、本気で逆探知されかけた。


 それもこれも、企業のレールコーポレートラダーで、上り詰めるためだった。

 父みたいな、フリーの傭兵マークネットランナーの運命も、コーポの犬になることの意味も知っていた。


 『傭兵マークネットランナーの行く先の95%はランナーチェアの上での死だ。コーポのICEか、相手方のネットランナー…そいつに神経系を焼かれる。


 残りの2%は逆探知を掛けられて、処刑部隊ヒットスクアッドを送られる。伝説中の伝説The legend of legendサイバークリッターCyber Critterは、サイバースペースのローグAIレイスに成れるが、まず不可能だな。基本的には肉体のフレッシュ・ジェイルにとらわれて物質的な死だ。


 最後の3%は十分な金を稼ぎ、自分のプロフィールと経歴をすべて書き換えて、引退生活に入れる。尤も、こうなったってそのうち生存が露見して追われ始めるのがざらだが…』


 ああ、正しいんだろうよ、クソ野郎。知ってるさ、そうやってあの町のランナーが何人消えていったか。ネットで知り合ったやつが数人焼かれてりゃ身に沁みる。


 クソ、何回も何回もICEで仮想的にしろ焼きやがって…トラウマになったんだよ、しかもこんな時に役に立ってねぇし…


 父への恨み言。自分が理不尽なことを考えている自覚はある。それでも、言わずには居られなかった。誰かに責任を押し付けたかった。


 だって、誰を恨めばいいんだ?転移を実行した謎の存在?一番ありかもしれない、何であそこで私だけ一方的な説明から醒めることができたのか知らないが、それがこの状況———一人だけ訳の分からない恐竜地獄に飛ばされて、理解不能なディノメックに左腕を吹っ飛ばされている———に関係があるのは明白ではないか。


 だが、あいつにしろ、何もわかっていないのに、恨むなんて言うのは出来なかった。それが出来るほどお気楽じゃないのだ。


 じゃあ何やったかわかってるやつを恨んだ方がましだ。


 ああ、クソ、母さん、アリア母さん、何でそんなに企業のレールコーポレートラダーにしがみついてたんだ。あんなカスと屑で満ち溢れた世界で、興奮剤スティムで身体を破壊しながら労働し続けることに何の意味があったんだ。


 ああ、知ってるよ、知ってる。努力して、運よく生き残り続けられさえすれば、コーポの対策諜報カウンターインテルは完全な特権階級だ。そのおかげで…ああ…他の学生どもが悩まされる貧困も、ドラッグ漬けの周囲の環境も、考えることすらせずに済んだんだからな。


 ああ、皆正しいな。あのクソの塊みたいな世界で、どうにか最善を求めて生きていた。でも、それをすべて超えるくらいにあの世界は救いようがなかったんだ。


 下部構造が上部構造を決定すると言ったマルクスが正しけりゃ、世界全体の責任だ。じゃあなんだ、世界をぶっ壊せばよかったのか…?カンザキも、あの世界全体の産物だ。だからそうだ、人類がこうなる運命だったに違いない。全員交換可能の大量生産品。パーソナリティなんてゴミクズさ。


 『地球は腐ってた、そうじゃない?』


 ネットからメールが飛んできた。走馬灯と恨み言だらけだった思考が晴れる。


 私をショットガンらしき銃で撃ったデイノニクス擬きは、こちらが死ぬかもっとヨタヨタになってから仕留めようとしているのか、その場に立ち竦んでそれ以上攻撃はしてこない。


 メールを飛ばせるような存在がここに居たのか?私のIPアドレスに直接、サーヴァーメッセージとして送ってきている。


 じゃあこの恐竜地獄の管理者でも居るということか?


 『死にたくはないんでしょう?地球の文明社会が憎いんでしょう?』


 ああ、憎いさ。父も母もネッ友も吸い尽くした社会メガマシンなんて、憎いに決まってる。それに死にたくもない。こんなところで意味もなく消えたくない。どうにかして、自分にも価値があったんだと示してやりたい。


 『期間限定オファー。安全はしばらく保障してあげる。よく吟味してから、このローカルネットにつないで。パスワードは…』


 そのメールが来ると同時に、セキュリティゲート前にシャッターが落ちるように降りた。セキュリティゲートを超えて倒れていた私は、ラプトルとの間にシャッターという壁を手に入れた。同時に、それまで闇で埋められていたタワー内に照明が灯る。


 バンカー仕様の厚いそれに、ラプトルがとびかかる衝撃音がして、ガリガリと爪で表面をひっかく不快音が聞こえる。


 上体を起こす。メールをもう一度よく見る。発信元はサーヴァーだが、暗号化されていてDNSもMACも不明。データ収集をかけてみたが、相当に暗号化が硬く、多項式時間では解ききれなさそうなレベルだった。


 この謎の差出人が見せたアドレス。もう一度アクセスポイントの一覧を見ると、ローカルネットがもう一つ増えている。


 『WitchInPromethia』…プロメティアの魔女。


 何のアナロジーだか全然わからなかった。そもそも貧血で遠のき始めた意識で何も考えたくなかった。


 藁にも縋る、というやつか。もう何でもいい、とにかく、死にたくはないから…


 サブダイヴ状態に移行。オプティクス情報量削減、オーディオをオフラインにした。


 意を決して、そのアクセスポイントにフォーカスし、接続。


 ———最初は何もなかった。一瞬身構えたが、こちらに伝わるシグナルは微弱。多分、行きかうアドレスをいくつか捕まえているのみ。


 スクレイプAIを再展開。何も引っ掛からない。


 だが…何かある?ほぼ本能の声みたいな違和感だ。何かおかしい。徐々に左腕を失って以降侵されていた熱感が引いていく。


 …予感、ではない。スクレイプAIが反応している。


 備えが必要だ。ICEだけでは足りない。いくつか反撃手段カウンターメジャーを用意した。LANドライヴァーの再起動プログラムを起動、待機させておく。通信のシャットダウンに妨害が入ろうとも強制できる代物だ。そして、最後に…


 デッキに移動しておいてよかった。こいつがある。ハイドアウトに保管していた学習済みのディーモンプロトコル、何時だったか忘れたが、かなり多様なサブルーティンを吸収させていた、恐らく現在持つプログラムの中で最も攻撃の即効性が望めるもの。


 まだスクレイプAIは何者かの存在を叫んでいるが、向こうのアクセスはない。暇を感じ、周囲を窺う。


 CAの空を思わせるほどノードの数が少ない。瞬くノードの最近接部は…位置的にラプトルか。


 ではやはりBotCommandの接続者で間違いないはずだ。もしやあのディノメックの指令側…?


 それを考えた瞬間、不意を突くように攻撃が始まった。


 ICEが起動。いや、貫通された!


 ディーモンプロトコルをICE代わりに入れる。


 攻撃発信源を特定した!流石のアルゴリズムだ。途端、視界にグリッチエフェクトが発生。不味い、オプティクスへの攻撃か!


 オプティクスをオフラインにし、ディーモンプロトコルがスクレイプした情報を確認しにコンソールを走らせる。いや、違う、駄目だ…!


 ディーモンプロトコルがエラー。緊急停止するまでもなく、向こうからデータ侵入が走り出した。ICEはもう貫通されている、防壁が…ない!侵入されるっ!


 次の瞬間、神経系を伝わる熱感が始まった。身体から感覚が失われ、倒れて地面に転がる。


 攻性防壁ICE...!あの父親のテストや試練がよみがえる。トラウマと化したその体験は脳にも身体にも強く刻み込まれていた。


 ———父親。ドックに共に行ったときにみたサイバーウェアで埋め尽くされた神経系。ランナースーツ。氷風呂、背後のDDP(ディープダイヴポート)、融解する金属の臭い、激しい妄想幻視ハルシネーションと痙攣。


 RZレゾンをやったときみたいな情動と想起のオンパレード。脳のもっとマテリアルな層からクオリアを貫いて侵入が走る。そして...


 ——— ——— ——— ——— ———

 ——— ——— ——— ——— ———


 恐慌。

 嫌疑。

 慕情。

 悲壮。

 死。

 憎悪。

 衝動、忍耐、そして異常な快感と空虚感。


 対極に位置する感情同士が複雑に入り交ざったセンセーションが駆け巡る。


 ———彼は何も覚えていない。私は逃げるために、彼は消えた。それなのに…

 ———悪夢の繰り返し。また私の記憶に刻まれる失敗。結局私はこればかり…

 ———でも、それでも、彼が始まりだ。彼のために始めた。だというのに、今やっていることすら彼に対する罪の様な気がしてくる。


 ———最初から私は彼のことなど考えていなかった。全て自分のため。これを実行したのも、彼を通じて私を傷つけたことへの怒りの結果。彼がどうしたいかなんて何も関係なかったのだ。きっと…


 『関連付けられるのは激情の連続。特殊な存在だったことは明白だ。そして精神サイキは共通の可能性がある…アステリアに近しい人物が遂に現れた!

 私の収束コンヴァージェンスに貢献できる。』


 ——— ——— ——— ——— ———

 ——— ——— ——— ——— ———


 終わった。急だった。激しい悪寒、出所の逝かれた全身からの幻肢痛、異常な脊髄の熱。今やそれらは急速に引いて行っている。


 何の記憶だった?


 何だったんだ、あれは?


 父の事の想起、その後、誰だかわからない人物による回想リミニッシング


 謎の羅列のような現象に頭を狂わされながら、ヴァイタルチェックを走らせる。先ほどまで感じていた数々の身体の不調は、逆2次関数のオーダーで収束し、後には謎の回想に対する疑問が残るばかり。それに頭を巡らせている間に、ヴァイタルチェックが返してきた結果はオールグリーンだった。


 オールグリーン?オールグリーン?ありえないだろう。左腕は欠損。その上、さっきのあれは明らかに攻性防壁ICEで焼かれかけ、その後何か...非損壊的な侵入を受けたサインだ。


 『いや、オールグリーンで間違いない。生体ナノマシンで動脈は埋めた。造血作用も始まってる。じきに回復するから、この状況ではオールグリーンと言って問題ない』


 妄想幻視ハルシネーションの一種か。透き通った、意識の埒外から浸入するような声が響いてきたこのときのように、謎の現象が起きたときに考えるのは大概それである。RZ《レゾン》をやった後だとよくある現象だ。トリガーされた想起思念リメンブランス


 しかし、そのクリアcrystalさと、そして...今目の前にグリッチエフェクトとともに現れた謎の女の姿がその推測を否定した。


 後ろで纏められた白い髪。コーポ的なネオエフェクティヴィズムスタイルのタイトドレスに身を包み、タイトスカートの下は黒いタイツ。タイツの隙間から見える腿は彫像の如く白かった。


 いかなる反射の偏りも許さないような彩度の無いルックスの中で、唯一孤立していたのは虹彩の深い紫だった。その容姿、悍ましいほど、自然のものであるとは信じられないほどの美貌は、転移前に見知っていたあいつ、あの謎の説明と強制理解の場面に更に謎を撒いていた一人の少女と完全に一致していて…


 「ア…アステリア?君なのか?なぜ…」


 『私はアステリアの関係者であるけど…アステリアとは言えない』


 冷徹な中に母性を感じるような謎の温かみのある声でどうやらアステリアらしき容貌をした女がこちらに語り掛ける。


 あのアステリアは何だったのか?この世界には転移者も含めてアステリアが3人いるのか?もしや、まさか人間全員アステリアみたいな見た目をしているのか?ありえない…


 『私はあなたの言うアステリアから生み出された存在と言ってもいい。私はアステリアの記憶痕跡エングラムを中心にした存在』


 記憶痕跡エングラムを受け継いでいる?では先ほどの場面はアステリアの回想?


 貧血の上に疑問だらけの脳で推論インファレンスを続ける。何か全部説明しきれる構造がどこかにあるはずだ。ロジックが通じない破綻した世界なら私が存在するはずはない。


 人間原理を押し通し、理解不能に思える現象と現状を全て理解可能の物理の枠に押し込めようと努力する。


 『今のデータで全てに答えようとするのは無駄。私はそれに答えられる…


 でも情報には対価が必要。最も原始的で曖昧な交換形態であっても情報は対価を、恩などの社会的認識の形で要求し、物理の法則も情報はエネルギーへ変換可能であるとして、逆に情報の書き込みに対してエネルギーを要求する関係を定義している』


 無駄に入り組んだコンヴォリューテッド話し方をするやつだ。つまり、情報を与えるからなにかそれに見合うものを寄越せと言いたいのだろう。語尾に付け加えられる蘊蓄が長すぎる。


 『納得させるついでに思案する時間を与える必要があった』


 減らず口のようなことを。


 なぜかこの会話で毒気が抜かれてしまった。このアステリアらしき存在の目的は不明、そもそも地球に居たアステリアなる人間が本当は何だったのかも不明。


 自分自身がどうなっているかも不明となれば、何をどう考えていいやらわからないが、とにかくこの存在はああ言えばこう言うことができるらしい。細やかな人間性の感触。端的に言うと、殺伐とした中で降ってきた下手なジョークに癒された。


 それにこの言い訳の仕方…アステリアらしい。


 ものすごく彼女らしかった。打算で実行したのか、適当に言ったのを後で取り繕っているのだかわからない言い訳。個人的には後者を推している。


 『私が要求する対価は簡単。まず、この関係を契約として定義する。この世界は過酷。よってあなたは物質的な側面においても、ネット上においても武力を必要とし、そしてこの地域から出るのすら絶望的な状況にある。


 私は武器を、そして情報を提供する。その代わりにあなたは私を携行し、この地域から外に出て、私の目的のために動いてほしい。


 さあ、契約する?どうする?』


 そして私は…

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プロメティアの魔女 EF @EF_FrostBurnt

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