第15話 風呂キャンセル界隈に怒る。
「あああああああ!!!!! はすみん♡ はすみん♡」
Yo××××e。エンプリの公式チャンネル。
日本全国の絶景スポットを回るシリーズ。その最新作がアップされていて、私は絶賛視聴中。
他のメンバーはどこに行ったのか知らないが、はすみんが一面むらさき色の藤棚の下を一人で歩いていた。
「フジどもぉぉ!!! 私と替われぇっっ。花ごときがお近づきになってんじゃねぇっっ。
――んん!? 今、はすみんの顔に当たりそうにならなかったか!? 押し花にすんぞテメェ!?」
3分ほどの短くも幸福な時間。
(もう少しでホウブ様のLiveも始まるし、このまま動画漁ってようかな)
私はテキトーに動画を再生していった。
その時、どこかのテレビ局があげたニュース動画が目に入る。
ニュースなんて見てもつまらないから基本的にスルー。だけれど――。
【SNSで話題沸騰】“風呂キャンセル界隈”を渋谷の若者たちに聞く!
そんなタイトルと共に載せられた1枚のサムネイル。
私はそれに反応した。
(あ!? 私みたいなヤツがインタビュー受けてるぞ!?)
リポーターがマイクを差し向けている先。高校生ぐらいの二人組の女。
その片方が『黒髪ツインテール。血色を消したホワイト
私は舌打ちをした。
「出たな地雷系!」
私と似たようなヤツ。――地雷系女子が気に食わない。
最近やたらと多い。東京の繁華街とか特に。
「いいか?
こっちはな、地雷系どころかガチの地雷なんだよ。
お前らとはそもそも“格”からして違うからな?
コスプレ気分で同じ格好してんじゃねぇ!
ヤミ(闇・病み)は私の独擅場なんじゃボケ。“なんちゃって”はスッ込んでろ」
私はイライラしつつ動画を再生してみた。
初っ端からサムネの二人がインタビューに登場する。
『え? お風呂ですか? まぁ私は毎日入りますね。髪とか気をつけないとすぐベトベトなっちゃうじゃないですか?? だからキャンセルはあり得ないっていうか笑』
それを聞いた私は「うんうん」と
それから例の地雷系が答える。
「わたしぃ、おふろとかフツーにダルい派ですぅ。だから3日に一回ぐらいがデフォとか???』
――ん?
『まぁそれでもまだマシなほうでぇ。気分のらなかったら一週間に一回とかぁ??? だから風呂キャンセル! ぜんぜんウェルカムですっ笑」
「なに言ってんだテメェ!?」
私は食べかけていたチョ×パイを落としそうになった。
「お前が変なこと言ったらこっちまで誤解受けるだろうが!? やめろやめろ」
インタビューは続く。地雷系のトークも続く。
『ええ? 一週間はさすがに??? うーんでもぉ……。わたしっぽい感じの子って大体そのぐらいお風呂キャンセルしちゃってると思いますよぉ??? マジマジ!』
『たしかにアンタらみたいなのってキャンセルしてそうだもんねぇ。見た目からして。あっはっはっはっはっはっはっは!』
(なんだコイツら!? 全力で地雷系女子に風評被害飛ばしにきてんぞ!?
あほあほ!!!
こっちは1日2回は入ってんだが。軽いシャワー含めたら。
そもそも風呂キャンセル界隈どころか、風呂プロ界隈の住人(元)だし。風呂に
私はブツブツ文句を言った。
そして地雷系女子にまつわる腹立たしいエピソードを一つ思い出す。
エンプリのライブの列に並んでいた時のこと。
なんの偶然か私の前に二人、地雷系女子が並んでいた――。
「くそっ。
そいつらと私とで似たようなのが三連チャンしたせいで、後ろのほうにいたカップルの男が『ダ、ダ、ダンゴ三兄弟ぃww』とか笑いはじめたんだよな――。
ああああああああ!!!!!
×ね!!!!!
なにがダンゴ三兄弟だよ!!!
お前らが何も考えずに『地雷系☆(ゝ。∂)』とかやるから、あんなワケのわかんねぇダンゴ扱いされたんだろが!!!
――それで私が唖然としてたら、彼女のほうが慌てたように『バカ!!』って彼氏の肩
お??? って思ったら。
『兄弟じゃないっ! 姉妹っ!!!』って。
彼氏は申し訳なさそうに『ああ……』って頭かき始めるし。
いや、そうじゃねぇだろ。
バカップル。
誰がダンゴの性別気にしろつった?? ブチ転がすぞ」
私はチョ×パイ口に詰め込んだ。
(地雷系&メンヘラ)パパ活女子。何も知らずに人材派遣会社の営業になる。 雪屋敷はじめ @winterhouse
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