第14話 健康診断を受ける。
(それにしても交通どうなってんだ? ここまで来るのに電車もバスも地下鉄もなかったぞ? タクシーはタクシーで来るの遅いし。この先、大丈夫か?)
「さかのましろさぁーん」
受付を済ませて、待合室のソファでしばらく待っていると、名前が呼ばれた。
看護師の案内に従う。
スリッパの音をペタペタ立てながら廊下を奥に向かって進む。
処置室の前まで来ると、看護師がカーテンを勢いよく開けて、私を中に招きいれた。
私は不思議な気分で中に入った。
(まともな健康診断とかいつ以来? 検査ならソープ時代に毎月受けてたけど。……いろいろ真面目すぎてホント昼に来たって感じだなァ)
身長・体重の測定、血液検査など。
それが終わると、更に別の部屋へ向かう。
聴力検査、レントゲン撮影、心電図検査etc……が待っていた。
平日の午前中。
人が少ないので待ち時間も短く、流れるように検査項目を消化していく。
おおかた終えたところで、私はブツブツ文句を言った。
(体のあちこちさらすのストレスだな。
心電図みたいなのに限って男が出てくるし。目つき怪しくね?
まぁ女は女で嫌だけどな。ジャッジ目線みたいなのが静かに働きそうで。
くそっ。もう全部ロボットにやらせろよ。生まれてくるの早すぎたか?
ああ!!! 愚痴りてぇ!!!)
以前は何かあると『てふてふの
(でももう無いんだよな。前に炎上して消したせいで。
この世の終わりみたいなジジイと駅で遭遇したから、ツイッターで晒して文句言ってやったら、アプリ閉じてる間にハンパない勢いで拡散されて――。
次アプリ開い時には大量の通知。
キーキーうるさいだけの間抜けな外野どもと戦ってたら、『過去ツイから住所特定した』とか『コイツの卒アル入手しました! 見たい人はDMまで』とかほざく得体の知れないアホが
ああ……キャバ嬢時代から手塩にかけて育ててきたアカウントがががががっ。
ビビらせんなボケ!!!)
推し活の方では、あまり不満や愚痴を呟く気になれなかった。
負の感情が大切な推しを汚染してしまいそうで。
私は愚痴る代わりに空中をパンチした。
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