ときたま、同人ゲームの開発物語を読むことがありますが、ちゃんとした会社におけるゲーム開発の物語です。非常に珍しいのでは。第10話まで読みました。
結論から言うと、第10話までの時点でも大変面白い物語です。文章もしっかりしていますし、描写にも過不足がありません。また、登場人物にそれぞれの思惑が感じられ、一枚岩ではないところが、人間味があります。各人の立場が、分かりやすく白黒だけで決められていないところに、奥の深さを感じるのです。
なのですが、大きな視点で見れば「ゲーム制作を成功させる」という共通目標が、きちんと感じられます。スズナという、会社外の人物の絡ませ方も非常に良い。この先彼女がどう関係してくるかはまだ分かりませんが、ゲーム開発だけでなく、人間模様でも物語に影響してくるようであれば、より面白くなるのでは。
ファンタジーが多いweb小説で、このような物語に出会えたのは、新鮮な驚きでした。
現代お仕事物であり、夢追い人の物語
とある会社のIT事業部の営業マンだった主人公が、ある日突然、ゲーム開発部門に出向を命じられることになり、アプリゲームのリードプランナーに任じられるというのが、物語の始まり
天才肌だが破天荒な年下ヒロインを中心に、非常に癖ツヨなメンバーと共に、まったくのド素人な主人公がゲーム開発に挑むわけなのですが……
立ちはだかる現実、業界の裏側を相手取り、主人公が不器用ながらも誠実に、クスっとされられつつも成長してゆく姿が魅力的です
登場人物もそれぞれのスタンスがあり、そこから生まれるドラマ性も納得の出来
この手のお話はとても珍しく、かつリアリティがあり、色々と知れてお得な感じもありありなのでオススメでした!
この物語、読み進めるうちにまるで自分も“無茶振り”の現場に巻き込まれたような、心地よい焦燥と高揚感に包まれていきました。
『ワグテイルプロジェクト』は、決して順風満帆ではない現実の中で、それでも何かを「作りたい」と願う人々の物語。印象的だったのは、無地の紙にユウヤが書いた「ここから始まるオレ達の挑戦」。空白に思いを託すあの一文に、社会人としての誇りと青春の熱さが同居していて、思わず息を呑みました。
営業畑から未経験でゲーム開発に飛び込んだユウヤの不器用な奮闘に、なぜだか自分を重ねてしまいます。コノハの破天荒さもどこか憎めず、クセ者ぞろいのチームに、ちょっと抜けてるけど真っ直ぐなコノハ、SNSから飛び出したスズナの勇気…それぞれのキャラに温度があるのが嬉しい。IT業界のリアルもちらりと見せつつ、根底には“ものづくりの原点”が流れていて、読んでいてクスッと笑える場面も。
夢を追うことの泥臭さと、それでも走り続ける人間の美しさが、静かに胸を打つ作品です。