大人になりきれない少女たち

@tsumugi1216

第1話

子供でもない、決して成人していないわけでもない4人の少女たちの物語。



ツムギの場合

「えぇ〜やだあ、いきなりですか?ゆっくり楽しみましょうよ♡」

学生時代から何となく働いている職場。お金に困っているよりかは、ただ抜け出せずに、社会に溶け込めずに4年経つ。

時間を短縮したいわけでも、今更私服に汗や唾をつけられたくないわけでも、伸びて新しいものを新調するのが何となく嫌だ、というだけだ。

趣味もない。風俗嬢の友達にもよく趣味を聞かれるが、強いて言えばサブスクリプションで映画をみることくらい、だがここ2年そんな気力も湧かない。彼氏もこの仕事を始めてから居ない。男性が生理的に無理になった。

どうして彼らたちは好きでもない人間に触りたいんだろうか、と考えて4年経つ。私にもいつか、触りたいと思える相手ができるんだろうか。

皮肉なことに私はお客様に何をされても関心がないのでいつもお店のナンバーワン、ツーを張っている。



アリサの場合

「基本的に触らないで、キスもダメ、匂いきついから歯磨きしてきて。」

学生時代からホストクラブにハマった。きっかけなんか簡単だった。可愛くない私に優しくしてくれるのは彼等だけだった。

可愛くなろうともした。整形もしたしダイエットもした。それでもダメだった。でも学のない自分には、4年経ってもこの稼ぎ方しかわからなかった。4年経っても好きな人以外に触られる嫌悪感が酷い。私はいつか好きな人にだけ触られる生活ができるんだろうか。どこに行っても所謂『地雷嬢』だった。稼げるはずもなく、担当のホストに大事にされることは、なかった。

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