BIGなライター

@acchi_a02

第1話 渋谷 道玄坂

鏡を見ると目の下に真っ青なクマがあって紫色をした唇で覇気のない目ン玉をした女が映っていた。鏡を見るたび溜息がでた。軽く顔を洗うと少しやる気が出たようで、化粧ポーチを出してピンで前髪を留めた。


「...ヨシッ」


下地を慣れた手付きで顔に塗っていく、ファンデーションとパウダーを乗せて、

両方の眉毛が均等になるように慎重に描く、だけどいつもバランスが悪い気がして何度も塗り直していく。アイシャドウを塗るときは4つの筆を使い分けていた。アイライン風の濃いミドリのアイシャドウを塗ってカーラーでまつ毛を上げてマスカラを慎重に塗る


「...アッ」


いつも瞼にちょっとマスカラがつく。いつもこうだ。手先が不器用なところ。

あぁいやだいやだ。チークも塗って血色よくしないと。


着替えないとね、今日は何の服を着て行こう。

赤と黒のチェックのショートのシャツと黒いスキニーパンツ、ゴシックパンクギャルすぎるかな?まあいいか。


のそのそと玄関へ行く。

靴は赤と黒のアディダスフォーラムのスニーカー、靴底は黄緑でちょっと奇抜。

扉を開ける。


渋谷へ行くのだ今日はパソコン音楽クラブのライブだ。

山手線新宿方面に乗る。広告のところがテレビ画面になっていてぼーっと眺める。


「フフッ」


お笑い芸人とYouTuberが変な顔でなにかしててニヤケてしまった。公共の場でひとりでも普通に笑う癖。あー恥ずかしいやだいやだ。


「池袋ー池袋ー」


あともう少しっ、東京はいつも混んでいるからずっと立っていた。

小さい男の子が電車の床にお菓子の缶を置いて上に乗ってちょこんと座っている。席を譲ってあげればいいのに、優先席に座っているのはずっとテレビ電話でデカい声で話してる謎の外国人。


「渋谷ー渋谷―」


着いた。降りるとモワッとすごい熱気。暑い・・・。

3回くらい渋谷に来た事あるけど、未だ慣れぬ土地なのでマップアプリでライブ会場まで歩く…。


すると急にどでかい坂道が現れる、

これが


"道玄坂"


溢れる汗、しんどい・・・。

こんなゴミゴミした人混みのなかで必死に坂に食らいつく。

すべてはライブの為…!!


ようやく着いた・・・。

周りはラブホにチャラいクラブハウス…。

ひとつだけ都会的なシンプルでおしゃれなライブハウスがあった。


ここか・・・!

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