夏の終わりに公共プールでBLごっこを見た話

黒星★チーコ

☀️🧑‍🤝‍🧑全1話🌊🌹


 これは昨年の九月の話です。


 今年は酷い猛暑で、それに比べたら去年は大したことなかったなとか思ってしまうのですが。いかんせん昨年の私は今年がこんなクレイジーな夏になると知りませんでした。当時は「過去一番の猛暑だ!」とか言ってましたね。

 七月八月はもちろん、九月頭なんてまだメチャクチャ暑かったです。


「ママ! 暑いからプール連れてって!」


 そう子供にせがまれてプール行ったんですよプール。ナイトプールとか遊園地じゃなくて公共の区民プール。

 公共のだけど一応滑り台とかありまして、子供はキャッキャと喜んでました。

 ……ごめんなさいホント言うと私もいい年こいて滑り台滑ってキャッキャしてました。めっちゃ楽しかったです。


 で、一通り遊んだのち。

 子供が泳ぎの練習をしたいから、少しだけ深め(と言っても子供も足は付く)の25メートルプールに行きたいと言い出しました。

 良いよ~と快諾し子供にクロールを教えてたのですが、そこでびっくりする光景に出会ったのです。


 それは。男子が男子をお姫様抱っこしている場面。

 私も経験があるんですが、水の中って浮力があるからどんなに重くてもお姫様抱っこができるんですよね。あ、経験については深くツッコまないでください。ああ、私は浮力を借りないといけない程の重量なのさ!!


 それはさておき、お姫様抱っこをしていたのは多分背格好とかからして両方が中学生男子だと思います。まあそれくらいなら男の子同士のおふざけとして無くは無いでしょう。


 驚いたのは彼らが私たちの横を通った時に聞こえてきた台詞でした。


「可愛い子猫ちゃんだな。俺が連れてってやるぜ(※イケボ)」


 !!??


 私は一瞬聞き間違いをしたかと思いましたが、お姫様抱っこをしている方の男子(頭にゴーグルをつけてました)がもう一度、ハッキリとイケボで囁くのが聞こえてしまいました。


「子猫ちゃん……」


 しかも、彼らの友人と思われる他の男子ふたりも「BL? BL?」と楽しそうに周りで言ってたので、これはもう聞き間違いではないのが明確です。


 私は神に感謝しましたね。自分が腐女子。だってもし腐女子だったら、我が子の前でめちゃめちゃ取り乱していたでしょうし、下手したら鼻血ブー(古い)でプールの水を赤く染めていたかもしれません。


 実際の私は呆然と彼らを見送り、固まるだけですみました。BLの意味をよく知らない我が子は、私が何故固まったのかわからず「ママー?」と不思議そうにしてましたが。


 いやあ、しかし令和ってすごい時代だね! 私がリアル中学生の頃なんて周りの男子にはヤンキーが何人もいて、男子の悪ふざけなんて器物損壊やら、【自主規制】ピーー【自主規制】ピーーやら、ろくでもないものばっかりでした。


 それが今や悪ふざけがBLごっこですよ。悪ふざけといっても、BLやLGBTをバカにした感じじゃなくて、ホントに爽やかなBL漫画を真似してる感じでした。(実際、彼らもスラッとしてて清潔感があったし)


 うん、ヤンキーよりそっちの方がずっと平和で良いなーと、家に帰って水着を洗いながらしみじみしちゃったおばちゃんの夏のヒトコマでした。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏の終わりに公共プールでBLごっこを見た話 黒星★チーコ @krbsc-k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ