第2話 訪問

目を開けると、自室のベッドの上だった。


「あれ、なんで私ベッドに……確か…」


(確か、裏山に行って、戦って…それで…)


 「目覚めたようだな」


振り向くと、目の前に鬼の面が浮かんでいる

「うわぁ!?…ってなんだ鬼さんか」


「涼華殿が倒れたので、勝手ながら自宅へ運ばさせていただきました」


「ありがとう。でも、なんで私の家の場所がわかったの?」


「ああ、それは……失礼だが、憑依して記憶を見させて貰いました」


「き、記憶をねぇ…」


(あんなことやこんなことの記憶見られていないといいけど…)


「あ、安心を!この場所に関する記憶以外は見てござらんので!」


ピンポーン!


インターホンが鳴った


「誰だろう?」


重たい体を引きずって、ドアを開けた。


「こんにちは、そして初めまして、鈴宮涼華さん」


玄関には、スーツに身を包んだ長身の女性が立っていた。


「あ、あの…どちら様でしょうか?」


「私は[影伐隊]第9支部隊員、神崎アヤネです」


「は、はぁ…」


「突然の訪問、申し訳ありません」


アヤネは深々と頭を下げた。


「あの、ご用件は…」


「あっ!す、すみません。手短にお話しましょう」


「立ち話もあれなので、上がってください」

涼華はリビングへ案内した。


「改めてお話しますね、今回訪問させていただいたのは[カゲビト]に関することです」


「ッ!」


(な、なんでそのことを…)

「心当たりがあるようですね。昨日、我々の

管理していた祠の様子が急変したとのことで調査に赴いたのですが…」


隠してもよくなさそうだ


「私が戦っていた姿を見たと…」


「そういうことです。あの祠は重要な物を封印していたのですが…」


「それは拙者のことでござるな?」


「そうです…って喋った!?」


アヤネは驚きつつもすぐに冷静に戻った


「コホン、その仮面は我々が管理していた呪物[九十九鬼]です」


聞き慣れない言葉に首を傾げる


「九十九、鬼…ですか?」


「そうです。我々は適合する人間が呪物と契約を結んでカゲビトと戦っているのですが、九十九鬼は契約に適合する人間がなかなか現れずカゲビトを引き寄せたため封印されたと聞いています」


「あれ、ってことは私が適合者だったってことですか?」


「そう、ですね。精密な検査を済ませなければ正確にはわかりませんが…」


「鬼さん…じゃなくて九十九鬼はまた封印されるんですか?」


「"このままでは"そうなりますね」


アヤネはニヤリと笑った

「?」


「貴方が適合者として認められれば、少なくとも封印はされないはずですよ」


「本当ですか!?よかった!」


「では、また明日検査の説明をしますので。あ、学校については気にしないで大丈夫ですよ。影伐隊はかなり顔の効く機関ですので」



アヤネはそそくさと荷物をまとめて出て行った。


「なんだか忙しい人だったな〜」


「まあ、明日に備えるでござる」

続く

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成り行きで、戦います。 ぱるぷ @tanaka846

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