こんばんは、今日の地獄経済ニュースです
隅田 天美
地獄経済ニュースの時間です
こんばんは。
八月X日、今日の地獄経済ニュースの時間です。
お盆ラッシュで親族などにとり憑いた霊たちや鬼たちの帰省で地獄駅は始発のデストロイ号は乗車率二百パーセントを超えるなど各地で混雑しています。
また、天国と地上、地獄を結ぶ世界一号線では昨日からの渋滞で最大三時間ほどの遅れが出ています。
VTR
サービスエリアにいた帰省中の家族連れの青鬼「いやぁ、帰省で人間界に行っていました。明日から地獄で針山仕事なんですけど、間に合うか不安ですねぇ……」
ロード族の赤鬼(地獄のコンビニでバイト)「復興でボランティアのために福島に行ってきました! 人を適度に怖がらせたのは久しぶりだったので有意義な一週間でした!」
さて、今年も沖縄の旧盆によってうちかびで大儲けした死霊たちの出国ラッシュもピークを迎えています。
地獄、天国ともに国内線、国外線が順調です。
また、年々増加するコミケで「死霊のコスプレをしたふりをしてエロ同人誌を立ち読みする」問題も今年は例年より少なくなっています。
さて、今日の経済トピックは先ほども話した「うちかび」による経済効果について元閻魔庁通産省事務次官で妖怪の算盤小僧さんに伺います。
まず、今年の「うちかび」によるインフレについてお伺いします。
そもそも「うちかび」による経済への影響についてお話しください。
算盤小僧「はい、現在、人間界同様に地獄の釜や火炎地獄の原材料や燃料費高騰により罪人を罰する人待ちで、中には進んだ医療で無理やり戻る人もいます。そうならないように、日々エリート鬼たちの研修やミーティングを行われているのですが、そもそも現閻魔庁長官の汚職事件による与野党の反発や海外から人材流失などが問題視されています」
こうした問題にはどうすればいいのでしょうか?
算盤小僧「やはり、こういう時には閻魔様をはじめとした閣僚たちの連携や横への広がりが重要になっていますね。特に毎年の『うちかび』による経済効果は一時的と言われていますので継続的な内需拡大も問題です」
算盤小僧さん、ありがとうございます。
現在、一ヘルドル百八十円四十五銭。
昨日より一円五十銭の値上がりです。
ユーロも二百六十円で比較的市場が安定しています。
株式市場はお盆休みで休場です。
CMのあとは、「現代の匠」のコーナーです。
今日は中央世界でマンドラゴラを栽培する農家、クトゥルフさんを特集します。
~CM~
ナレーション(男性アナウンサーの渋い声で)「中央世界の農村部でマンドラゴラを栽培するクトゥルフさんの朝は早い。
午前四時。
体を軽トラにトランスフォームをして、同経営者で人間の平野平春平さんと約一時間ほど走らせ農場につくと一本一本を丁寧にマンドラゴラを手で収穫する。
クトゥルフさんは言う。
「今年の出来は非常にいいんですわ。悲鳴も例年になく大きく、地上界にまで響いて発狂する人間もいるんで、そこは申し訳なく思いますねぇ」
クトゥルフさんの作る国内産マンドラゴラは外国産より多少値が張るものの高名な魔女や狂信者に支持され、高値で取引されているという。
自然な魔力、食べると発狂する味が外国産とは圧倒的に違うという。
狂信者で長年、農園と直接買い付けをしているウェイトリーさんは語る。
「まず、品質が非常にいいんですよ。特にヨグ・ソトース様などの儀式には、これなしでは考えられませんね」
ここまでの品質を維持や育成などのことをクトゥルフさんはこう語る。
「やっぱ、自然やと思いますわ。春に土を耕して種を蒔いて、毎日、水をやって土と語らい、収穫時期を見極める。ちゃんと邪悪な魔力と生贄さえあれば、誰でもできますよって」
謙遜する彼が作るマンドラゴラの悲鳴が、今日も山村に響く……」
(終わり)
明日は、地獄の釜茹で八百年のベテランである青鬼さんの特集です。
では、地獄経済ニュースを終わります。
こんばんは、今日の地獄経済ニュースです 隅田 天美 @sumida-amami
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