第3話

「そう、ここで解散しておけば、良かったんだ」

「でも、僕っ、ほっとけなかったんだ」


「?」


「メンバーのうちの一人にミナっていう女の子がいるんだよ」


「あぁ、あの国王の娘の!」


「そうそう!」

「でさぁ、聞いてよ!その子がさぁ、解散後に僕の耳元でこう言ったんだ」

「「この後、2人っきりでお茶しません?」って!」


「はぁ、」


なんだ?自慢か?

いや、でも…こいつ大量の金失ってんだよな?


…もしかして、この姫様が、金のことと関係してるのか?

…ってなんで俺が偽モン勇者の話を真剣に聞いてんだよ!

…偽モン、だよな?でもそれにしては、妙に作り込まれているような


「まぁ、もっちろん?」

「「うん」って答えたさ!まぁ、内心うっきうきだったんだけど、」


…やっぱ自慢じゃねぇか!


「でまぁ、普通に会話したりして…」





「おふたりで話す機会はあまりなかったので、嬉しいですわ」


「僕も、嬉しいです。」

「旅ではあまり、2人っきりという状況はありませんでしたからね」


「そうですね、」


「あのっ、ちなみにその服は?」


「あぁっ!実はいつもの服の下に着てたんですよ。薄いですし、あんまり違和感ないでしょう?」


「いっ、いつの間に!?」


「秘密です!」


「えぇっ!」

「で、でもですね…なんか目のやり場に困ります…ね、」


「えっ、どこ見てたんですか?」


「いやっ、むn…いや、特にそんな、ハレンチなところは見て…ませんよ!」


「そう、ですか…?」


「はい!けっして!」


「はぁ、」






「いや、下心丸出しじゃねーか!!」

「何が「むn…」だ!」


「いやぁだってさ、想像以上にやばかったんだもん」

「22の男でも、あれはやばかったぜ、股〇が。」


「〇間かよ!」

「で、何?もう俺帰っていい?」


「まっ、まってよ!もうすぐ終わるから!」


「はぁぁ…、」


「まぁ、そんなこんなで僕たちは時間も忘れて楽しく喋ってたんだけど、」

「彼女がさ…言ったんだよ」

「「この近くに美味しいケーキ屋さんができたんですよ!」って」


「ふーん」


「そう、それこそが、僕の金が無くなった原因なのさ」


「ふー……はぁあ!?」


「彼女が紹介してくれたケーキ屋さんってのは、少し値段が高いお店でね、」

「いつもはそういうちょっとお高めのやつは買わないんだけどさ、その時ちょうどがっぽりお金もらっちゃったじゃん?」

「だからさ、1回行ってみたんだよ、どんなもんなのかなぁ、てさ」


「おん、」


「めっちゃおいしかった」


「そうですか、」


「で、そのケーキ屋にお金つぎ込んで無くなった。」


「……」


「え、何その顔、やめてよ!そんな「こいつ、アホか」みたいな顔でこっち見ないでよ!」


「いやだって、アホだろ!馬鹿だろ!」

「お前、ほんとにそのケーキ屋に全額つぎ込んだのか!?」


「うん」


「そんなに食えたのか!?」


「うん!」


「はぁぁぁぁ、なんか、うん。」

「俺、帰っていい?」


「まっまま待って!」

「僕には君しかいないんだよ!」


「そう、それだよ!」

「なんなんだよその気持ち悪いフレーズ!「君しか…」って、どういうことだよ!?」


「そのままさ!僕には君しかいないんだ!」


「はぁ?」


「…全財産無くなった時、僕は途方に暮れたよ。」

「そんな時だった。国王と僕たちのつなぎ役として、旅の間、数々のサポートをしてくれた超絶美人のメガネ指導キャラみたいな人がさ、声をかけてくれたんだ。」

「「お金、たんまり稼ぐ方法ありますよ」って」


「いやそれ大丈夫だった!?めっちゃ詐欺っぽいんだけど、」


「いや、メガネちゃんが言ってたことは本当だった。」


メガネちゃん………


「なんたって、1日働いて、10万ユリカは稼げたからな!多い時は100万ユリカぐらい稼げたっけな?」


「えぇっ!?10万、100万ユリカ!?」


〔1ユリカは現在で言うと10円に値する〕


「内容は!?」


「モンスター倒す…まぁ、ギルドの討伐クエストみたいな感じだな」


「まぁ、ギルド会員じゃなくても、モンスター倒して持ってったら報酬はちゃんと貰えるしな………だよな?」


確かソラがそうやって言ってたはず……


「うん!だから結構稼げたんだよ。そんなに大変じゃないしね」

「クエストはメガネちゃんが僕にあったの選んでくれてたし」


「なぁ、なんでそこまでやってくれるんだ?その人は」


「…えっと、まぁ、僕って強いじゃん?だからさ、ほとんどの人がクリア出来ないクエストもクリアできるんだよ。」

「でさ、メガネちゃんそういう難易度高いやつばっか選んでくるんだよ。でまぁ、「勇者がクエストをするように仕向けたのは私だから私にも報酬ちょうだい」みたいな感じで国王に頼んでるっぽい」


「なるほど、スカウト税っていうか、なんか…「貸してあげるから勇者がクリアしたら私にも報酬ちょうだいよね、クイッメガネを」みたいな感じなのか…」


「そうそう!君分かってるじゃん!」


「でも、なんでそんなお金がっぽり稼げる仕事見つけたのにここにいるんだよ。しかもなんか透けてるし。」


「……逃げてきたんだよ」


「はい?」


「忙しくて、逃げてきたんだよ」


「………」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

勇者に超えて欲しいと頼まれたんで、超えて世界最強目指します!〜勇者の生まれ変わりと言われていますが、実は俺の中に勇者いるんです!〜 ふせん @husen55

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ