第2話
「ん?あれ?」
「どうかした?」
「……」
…本物、なのか?
えっ、でも透けてるし…
えっ、あれ、ていうか勇者って今、「魔王が復活するのを阻止するためにまた旅に行くって言って、今旅に出てる」ってソラが言ってたような……
ってことはこいつは偽物!?
まぁ、そうだよな。勇者がこんなとこにいるなんてありえないもんな。うん。なんか透けてるし。
「…そっか、勇者も可愛そうだな。こういう偽物が自分の名前語って悪さしようとしてるんだからな。」
「えっ、ちょっ、何言ってんの!僕本物なんだけど!!」
「嘘つけ!勇者は今魔王復活を阻止するために旅に出てるはずだ!」
「残念だったな、俺が勇者に詳しくて!」
まぁ勇者の知識のほとんどがソラによって身についたんもんなんだけどな。
…俺が知ってたの勇者の名前が「アル」って事だけだったからなぁ……
「えっ…」
「それ本当?僕知らないんだけど!!」
「本当…っていうか、まだ騙せると思ってんのか!!」
「えぇぇ、どうしよう…本物なのに……」
「あっ、そうだ!」
「さすがに偽物は、この技使えないでしょ♪」
「……クライツ流剣術…」
「クライツ流剣術」だと!?
確かその技は勇者本人にしか使えないんじゃ…
(ソラのおかげで身についた知識)
まさかこいつ、本当に勇者…!?
「第七の
「第七の
剣筋が無数に見えることから「星屑」と言われ、実際に本人も「確かに〜」と思い、名前をつけたその日から広範囲技として、正式に使われるようになったという、あの「星屑」!?
(ソラのおかげで身につ……)
で、でも確か「星屑」って広範囲技だったよな?
ってことは俺オワタくね?
なんかすっげぇの発動しそうじゃん。
あぁ、俺オワタ。
「………」
「あれ?何も起きない……」
「やっば…、」
「そういや幽体化した時に僕、自分の剣置いてきちゃったんだった…!剣が浮いてるように見えちゃうから、って……」
「…やっぱりお前、偽モンじゃねぇかあぁ!!!」
「違うってぇぇ!」
〜1時間後〜
「うぇっ、えぇん…」
「男が泣くなって!」
「だってだって、信じてくれないんだもん〜」
「僕本物なのにぃ〜」
「僕には君しかいないんだよぉ、」
「分かった分かった!信じる、信じるから!」
「だから早く泣き止んでくれ!俺を解放してくれ!このままじゃ帰れねぇだろ!」
「ぐすっ、」
「意外と優しいんだね、君って」
「…うっせぇ!」
「…で?なんで勇者様がここにいるんだよ」
「そうだね、うん!君には話さないといけないこといっぱいだね!」
…あれ、気のせいかな?
こいつめっちゃピンピンしてるんだけど…
もしかしてさっきの嘘泣きだったんじゃ…?
「いやさぁ、勇者ってさ、すごく疲れるんだよねぇ」
なんか語り出したし……
「でねぇ、聞いてよぉ〜。魔王倒して、報酬めちゃ貰って、いろんな人から褒められてさ、めっちゃいい生活送ってたんだよね、僕。」
「でもねぇ、僕は大切なことを見落としてたんだよ!」
「は、はぁ、」
「魔王倒したらさ、僕さ、無職じゃん。やること無くなるじゃん。」
「勇者って魔王倒すためにいるんでしょ?でもさ、それ気づいた頃にはもう倒し終わってて、僕さ「どうしよう」ってなったんだよ、割とガチめの。」
「は、はぁ、、」
「で、さすがに無職だと周りからの目線が痛いじゃん。」
「だからさ、近くのギルド行ってギルド会員として登録しようとしたんだけど、……「勇者」って生きづらいんだよね、ほんと。」
「う、ん。そう…なんだな……」
「そうなんだよ〜。まずギルドに行くまでの道で「勇者様!勇者様だ!」と大騒ぎ。ギルドに入って一息つこうとしたら、またまた「勇者様!勇者様〜!」。挙句「もう疲れたし今日はいっか」って宿屋に帰っても、またまたまた「勇者様!勇者様だわ!」。」
「僕はただただ普通の生活に戻りたかったんだー!!」
「「勇者」としてじゃなく、アル・クライツとして第2の人生を生きようと思ったのに…!」
まぁ、そりゃ全世界に名前轟かせたもんな。
そうなっても無理ないわな、
…ん?でも確か……
「な、なぁ、別に普通の生活したいんだったら、無理にギルド入ってまでモンスター倒そうとしなくてもいいんじゃね?」
「だって家買ってまったりぐったり過ごしていくくらいの金は、もう魔王倒した後に王様から貰ってんだろ?」
「…それがね……」
「…そう、あれは魔王を倒して国王からお金をたんまり貰った時のことなんだけど……」
…なんかまた始まった……
「あの日の僕は、本当にどうかしていたよ……」
〜国王からお金をたんまり貰った日〜
「やったぁぁ!これで僕!後の人生まったり暮らせる!」
「やったなぁ!アル!お前ずっと言ってたもんなぁ、まったりぐったり暮らしたいって」
「うん、でもこれも皆のおかげだよ!」
「僕1人だったら、絶対に無理だった!皆、本当に今日までありがとう!」
「おう!俺も楽しかったぜ!お前らと一緒に旅ができて!」
「最初あの
《剣豪:ルイ・クラン》
「でもほんと、最初はどうなる事かと思ったわよ。勝手にパーティ作られるし、顔合わせに行ったらパーティーメンバー同士がもう既にバチバチに仲悪くなってるしで。剣使いのふたりをまとめるの、ほんと大変だったんだから!」
《大魔法使い:リア・ロイぜ》
「いや、だってよ!同じパーティーに同じ剣使いがいるなんておかしいだろ!1人でいいだろ!」
「でもまぁ、剣使い2人いたからこそ、突破できる場面も多かったし、今こうやって魔王倒せて生きてるんだから、良かったんじゃない?このメンバーで」
「うぅっ、はいっ、ほんとに良がっだですぅ〜!このメンバーでほんどに、ほんどにぃ〜!!」
《回復術師兼付与術師兼姫:ミナ・イーゼグレイ》
「あんたはいつまで泣いてんのよ!」
「だっでぇぇ!今日でこのバーディー解散なんでずよぉ!悲じいじゃないでずかぁ!!」
「……ま、なんだかんだ楽しい旅だったわねぇ」
「うん、そうだね、」
「…おう!いい旅だった!」
「…ま、今日、このパーティーは解散するということで、今日はパーッと、飲みまくりましょう!」
「「「おぉー!!!」」」
「この時はまだ、お金、沢山ありました。」
「ですが、この3人のうちの1人が、あんな、あんな事を……」
〜勇者パーティーが解散した次の日〜
「ふぁぁ〜、って、あぁ、結局飲み屋で皆寝てしまったのか、」
「お、起きたのか!」
《勇者パーティーがよく来ていた飲み屋のオーナー:カイルさん》
「あ、カイルさんですか。皆に毛布を掛けてくれたのは」
「ありがとうございます」
「別にこれぐらい。兄ちゃんたちが魔王を倒してくれたことに比べたら、安いもんですよ」
「…あっ!お代……」
「ちょっと待ってください、お財布…お財布……。」
「
「おぉ、何度見ても不思議だよなぁ、それ」
「いやぁ、俺もその技使えたら、模様替えの時便利なのになぁ」
「でもこの技、常に一定の魔力を強制的に持ってくので、意外と戦闘終わりとかにいらないって思う時あるんですよね、魔力不足で、」
「便利なんですけどね、」
「あぁ、なら俺は魔力少ないから無理っすねぇ、」
「でもまぁ、代わりに力があるんで」
「確かに、僕より力あると思いますよ、」
「ほんとか!?」
「いやぁ、勇者様に勝てるもんがあるとはなぁ〜」
「まぁ、おっさんんと俺だったら、俺のが強ぇけどな」
「!」
「ルイ!起きたの!?ごめん、うるさかった?」
「いや、俺は毎日この時間に起きてるからな」
「まぁ、俺よりも遅い起床のお前が知ってるわけもねぇか」
「ごめんってぇ!まだ寝坊して迷子になったこと怒ってるの?」
「1、2回とかだったら俺も「しょうがねぇなぁ」って思う。けどなぁ、今までで累計84回だぜ!何回迷子になったら気が済むんだ!」
「いやぁ、起きたら誰もいなくて寂しいから、探しに行こうとしたら……何故か迷子になっちゃうんだよね、」
「いや、すぐ戻るから!だって飯とか服とか全部お前んとこに置いてっただろ!なんで探しに来るんだよ!」
「いやぁ、だって寂しいじゃん、」
「皆の荷物あるから、帰ってくるのは知ってるけどさ、やっぱ寂しいじゃん」
「はぁぁ、、」
「まっ、けどもうあの迷子になって半泣きで山座りで座ってるお前を見ることはなくなるのかぁ、」
「そうよねぇ、けっこう可愛かったのに寂しくなるわぁ〜」
「うおっ!ロイゼ起きてたのかよ!」
「いや、今起きたのよ!」
「あんたがすっごくうるさかったからね!」
「痛ぇってっ!やめろ!つねんな!」
「はぁぁ、私の可愛い可愛いアルぅ〜!」
「寂しいわ〜、」
「ううっ、ざびじ、ズズッ《鼻をすする音》、ですわ〜、」
「いやお前ら!静かに起きるのやめろ!!」
「うぅぅっ、」
「あんたがうるさいから、また泣いちゃったじゃない!」
「俺のせいかよ!?」
「あっはは!!」
「笑ってないでアルも言ってやりなさい!」
「えぇっ!なんで俺なんだよ!!」
「いやぁ、やっぱりこのパーティーはいいなぁ!」
「「「!!」」」
「そうだな(ね)(ですね)!」
「…あっ、お代!」
「ん?あぁ、お代は結構だ。いらねぇよ、兄ちゃん」
「えっ!でも…」
「こういう時は礼言って甘えりゃいいんだよ、」
「ルイ!」
「そこの兄ちゃんの言う通りだ!お代はいらねぇ。しっかり大人に甘えとけ!まだ
「えっ、でも僕22…」
「若ぇ若ぇ!甘えとけ!」
「あっ、ありがとうございます!」
「おう!」
「また来いよ!」
「!」
「はいっ!」
「そうして、僕たちはその飲み屋をあとにしたんだ。」
「お、おう…」
いつまで続くんだよ…
このままだとまじで飽きられるじゃねぇか!
「でまぁその後「バイバーイ」って解散したんだけど、」
「お、おぉっ!?」
そこ適当にすんなよ!
今までの話の中で一番感動的なシーンじゃねぇのかよ!!
「問題は、その後に起こったんだ…」
「お、おぉう、、」
山場まだだったんかいぃ!!!
もうやだ、帰りたいよぉ、、、
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