勇者に超えて欲しいと頼まれたんで、超えて世界最強目指します!〜勇者の生まれ変わりと言われていますが、実は俺の中に勇者いるんです!〜

ふせん

第1話

かつて古くからこの世界にはモンスターがいて、人々はモンスターを狩ったり、飼ったりなどし、生活していた。


しかし、そんな平凡な日常がずっと続くわけがなく、ある日突然、魔王が誕生。

そして、魔王が誕生して以降、モンスターは以前よりも遥かに強い力を手に入れ、人々を襲い、次第に人々から恐れられる存在となっていった。


そして、人々がモンスターを恐れ、引きこもるようになってから何年か経ったとある日


「アル!!ダメって言ってるでしょ!!!」


母親の言うことを無視し、「探検してくる!」と、ドアを開け、モンスターのいる森へと入っていった少年がいた。


その少年。またの名を「勇者」と言う───





《レペメンド王国 テーフ村》


「でねでね、「勇者アル」は森に行った後、モンスターの死体をいっぱい持って、家に五体満足、無事に帰ってきたんだって!」


「へー」


「すごいよね!僕も勇者になれるかなぁ」


「なれるんじゃね?頑張れば」


「ちょっとお兄ちゃん!もっと真面目に聞いてよ!」


「いや、だってさぁ、お兄ちゃんもうその話100回くらい聞いてるんだよ。話始める前にもう展開知っちゃってるんだよ、」

「ていうかよく飽きないよな、毎日毎日同じ本読んで」


「だって勇者かっこいいんだもん!」


「おいおい、それ理由になってないぞ」




俺の名前はアル。

そう、あの超絶最強有名人の「勇者様」と同じ名前だ。

そんでこの、ちょっと引くぐらいの勇者好きが、俺の弟のソラ。


「そろそろ畑仕事行ってくるわ」


「うん!行ってらっしゃい!」


「おう、大人しくしてろよ」


「……うん、」


「?」



どうしたんだ?腹でも痛いのか?

「まぁいっか」

俺はそう思い、その場を離れた。



「……うん、僕も勇者になるんだ!」



俺があの時もう少し弟に注意を払っていたら、この後、ああはならなかったのかもしれない。




「ふー、遠いんだよな、ここまで」


俺の畑は森をぬけた先の、ギリギリ村の領域内って所にある。

森だから、モンスターがいるかもしれない?

大丈夫だ。俺はその辺はきちんとしてるタイプだからな。

帝都で買ったちょっとお高いモンスター避けのネックレスを毎回つけてるし、道も最短距離を通ってきてる。だからほとんど心配ないんだ。


「さぁーて、今日もひと仕事するかぁ」


なんで俺が畑仕事をしているのかって?

それは、俺たち2人には親がいないからだ。

母は弟の出産の時に。父は帝都へ出張に行っている時にだ。

母の死因については、弟には言っていない。知ってしまったら、きっと自分自身を責めてしまうからだ。



この畑はもともと父さんのものだったんだ。

父さんあまりお金無かったからこんな端っこの領地しか買えなかったっぽいけど。

…少しでも俺たち兄弟に、領地があった方がいいって思ってのことなんだと思う。

んで、父さんが死んで、俺がここの領主となって、今に至るって訳だ。


まぁこうして毎日畑を耕したりして野菜を育てたりしている訳だが、実はあんまり食には困っておらず、こう言っちゃ悪いが、正直言って父さんが働いてくれていた時よりもたくさん食べれている。


何故かって?

それは、帝都の「カイ・レイ」っていう人から毎月お金や食べ物を送って貰っているからだ。カイさんは、父さんの働いていた出張先のお偉いさんらしく、父さんが死んで、子供たちだけでは苦労するだろうということで毎月律儀に送ってくれている。

ほんとにありがたい。




って、そうだそうだ、早く畑を耕さないとだった。

いやぁ、にしてもほんと、毎日同じことの繰り返しで、飽きてくるよなぁ。なんか凄いこと起きねぇk……


「?」


……いやいや、見間違いだ。うん、きっと何かの間違いだ。

そういえば、俺最近お通じが悪いんだった。そう、だから今見えたのはそのせいだ。幻覚だ。

うん、お通じが悪いことによる幻覚だ。


「………」


いや、おる。うん、なんかおるわ。

俺の事すっげぇ見てるわ。お山座りでめっちゃ見てるわ。

しかもなんか透けてるし。

……なになになに!?俺なんかした!?!?

うっわ、めっちゃ見てくるわ。

………目合わせんとこ。

…ん?でもあの服装…どっかで見たことあるような………

ま、まぁ、き、気にせんと畑耕しとったら、いつの間にか消えてるだろ、、




〜1時間後〜


「……」


「……」


まだおる。しかもなんも喋らんとこっち見てる。何!?なんかテレパシーでも出してんの!?



〜3時間後〜


「……」


「……」


いや、マジでなんなんあいつ。何もしてこねぇし、もしかしてストーカー…!?

いや、それはねぇか。



〜5時間後〜


「……」


「……」


やっべぇ、畑耕すの終わっちまったよ…

結局あいつ、俺が昼休憩で弁当食べてる時もじっと見てるだけで話しかけてこなかったし…

やっぱストーカーなのか……?




「……あの……、」


「!!」

「なっ、なん…だよっ!」


こっっっわ

えっ、なに。急に話しかけてきたんだけど。

え、怖。ていうかなんで今なんだよ。もっと前でも良かっただろ。怖いわ!



「あ、あの……」


「だからなんだよっ!」


「僕、あなたの体が欲しいですっ!!」


「……」

「なっ…!!!」



こっ、こいつ……

ストーカーじゃない。

……こいつ、こいつは、「変態」だっ!!!

…やっべぇ、マジの変態じゃん。

「体欲しい」とかマジやべぇって。俺男だぞ!



「い、いいですか…?」


変態はそう言って、俺に近づいてきた。


「くっ、来んな変態!!!」


「へ、変態っ!??」

「僕が!?」


「お前以外誰がいるんだよ!!」

「さっさと離れろっ!どっか行け!」


「で、でも僕…」

「君がいいんだ…!君しかいないんだよ…!!」


「……」


ソラ…

今日お兄ちゃんは、過去一ヤベェやつに出会ってしまいました。


「だぁぁぁぁ!!」

「そもそもお前誰だよ!!!」


「!!」

「君…僕を知らないの?」


「はぁ?」

「お前と会うのはこれが初めましてだよ!」


「いやっ、そうじゃなくて、」

「…ほんとに知らないんだ」


「そうだよっ!悪かったなぁ、記憶力悪くて!!」


「いやっ、てっきり知ってるものかと…」

「でもそっか、確かにここは帝都から結構離れてるもんね。うん、それなら僕を知らないのも頷け……いやっ、ほんとに知らない!?」


「だから知らねぇって言ってんだろ。」


「そっか。……まぁいっか!」

「ということで、はじめまして!僕の名前はアル・クライツ。世間一般では「勇者」って呼ばれてるんだけど…まぁ、知らないならいっか!よろしくね!」


「………」

「はぁぁぁぁ!?!?」

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