猫への供物

水玉猫

猫への供物

 ちょっと不思議な話。

 短い話ですし、「ふうん」と聞き流してくださいな。


 わたし、ずっと犬や猫と暮らしてきたんです。

 小学三年生のとき父親が公園で拾ってきた犬がコロで、高校一年のときやっぱり父親が同じ公園で拾ってきたのが猫のチト。それから、何十年と途切れることなくずっと犬や猫と暮らしてきました。犬は最初のコロだけで、あとはみんな猫でしたけれどね。


 犬も猫も、人間と比べると短い命。

 今いる子たちの前に先代、先先代、先先先代といるわけです。

 だから、毎年お盆やお彼岸になると、その子たちにお供えをします。好きだったおやつとか、いつも食べていたカリカリとか。


 それで、ここからがちょっと不思議なんです。

 しばらくして見にいくと、いつもお供えの皿が空っぽになっているんです。


 最初は、びっくりしましたよ。

 でも、すぐにぴんときました。犯人は今いる猫だって。

 人の目を盗んで、ちゃっかり食べてしまうんです。


 だけど、今年のお盆もいつも通りにお供えが消えちゃいました。

 1ヶ月前に最後の猫が亡くなって、わたしの家にはもう生きている猫は一匹もいないのに。

 いったい、誰が食べたんでしょうね。

 



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猫への供物 水玉猫 @mizutamaneko

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