第十四話
胴体に3つの巨大プラズマ式ジェネレーター、いたるところに設置された関節駆動部の出力安定を補助するエンジンたちがけたたましい駆動音を上げて、巨人に一歩を踏み出させる。
まあ所謂男のロマンってやつだ。
前世で宇宙人と戦っていたとき、一回だけ使ってお蔵入り人っていたものの設計図から新たに改良してリニューアルさせた新兵器。
敵は禍々しい紫色の魔力をまとって右手パンチを繰り出す。
バアアアアアアアアアアアアン!
衝撃波が発生し、鋼鉄の体を揺さぶる。
俺はそのパンチをぶつかる前に掴んで止めるが、今度は左手に魔術を起動して俺に放ってきた。
「バリアフィールド展開!」
魔力の光線は機体が発生させたバリアに反射して遠くの山を一つ消し飛ばした。
「そんなもんかよお前の力は!今度はこっちから行くぞ!!」
左手で敵の右手を握ったまま、右手で拳を作る。
胴体部にあるジェネレーターの一つから眩しいほどの赤い光が右手へ流れていき、ガスポンプや歯車のギアが上がる音とともに右手を顔面に向けて飛ばした。
「歯ァ食いしばれぇ!」
ドォオオン!!!!
『第二ジェネレーター開放、再チャージ中』
「やっぱ時代はパンチだよな」
『再チャージ完了、目標の生体反応消滅』
上半身が消えた巨人は立ったまま粉になって消えていく。
「アルファ、ゴリアテは準備できたか?」
『発射準備完了しました』
「撃て」
『発射』
この攻撃で出来上がった底の見えない直径1kmの大穴が様々な鉱石の採掘場となり、巨大な地下都市が出来上がるのはまた別のお話である。
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あー眠い。
今日も街にシロとクロを連れ出してブラブラしている。
あれから俺は機体から出たときに姿を見られたらしく、領の英雄として銅像が街の噴水の近くに建てられた。
これ。
そうそうこれ。
俺は自分の銅像をなるべく見ないようにして歩く。
なんでこんなにもしっかりそのまま作れるんだろうな。
ハッチから出てきた瞬間がそっくりそのまま作られている。
土台には”謎の空島から救った謎の英雄”と掘られているが、
なんかもっと名前あったろ。
結構月日は流れていて、今週でこの街とはおさらばになる。
なんてったって来週から皇都の学校に通わなきゃいけないからな!
前世でろくに青春をしなかった俺にはまたとないリベンジチャンスだ。
全力で楽しんでやるぞおおお!!!
と意気込み、街の人々に最後の別れや挨拶、ちょっと買い物をしようと思ったのだ。
この領の中心部である街もだいぶ復興が進んできて、ましになっている。
もう少し頑張れば都市にもなりそうだが、なぜならないのかは伏せておこう。
俺は荒事起こして領から出たいんじゃないからな。
「おっレオ坊っちゃんじゃないですか!学校がんばってくださいね!!できればこのまま領にずっといてほしいんだけどなぁ」
「馬鹿かお前俺はこの領から出たくてしょうがないから学校へ行くんだぞ!まあこの街は好きだから戻ってくるかもしれないがな!」
「きゃっ!レオ様だわ!!こんなに近くで拝めるなんてもう私死ねる」
「いやお前が死んだら悲しむものがいるだろうそのような愚行には走るな馬鹿者!!」
「先日はありがとうございましたレオ様!わざわざ私達の孤児院に直接寄付に起こしくださるなんて......。こんな素敵な領主様ならこの領は安泰ですね!」
「勘違いするな馬鹿者!俺は孤児院がどんなところか気になったから出向いたまでだ!あの寄付もお釣りで帰ってきたものをお前たちに押し付けただけだしな!」
たくさんの人から声をかけられる。
将来は領から出てどっかでゆったり暮らしたいから貴族という肩書は捨てねばならない。
そう、貴族が平民になるすなわち貴族が没落するためには荒い金遣い、地の底に落ちた人望、プラスゴミみたいな性格がもたらすのだ!!
俺は常日頃からこれらを意識して生活している。
俺のスローライフももう少しだな。
俺は適当に話しかけたり集まってくる人々をあしらいながら学生生活前最後の地元めぐりを終えた。
ゼノ・ブレイカー 戦い続けた英雄は魔法科学を使って異世界を無双する 午前の緑茶 @zecrora
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