【始まり編】2話

 ガチャリと音を立てて扉が開いた。家のキッチンにて自分達の手で育てた野菜と買ってきた薄切りベーコンを、黒パンに挟んでサンドイッチを作っていた女性は扉の音に反応した。


その瞬間、


「ただいま~!」

 最初に聞こえてきたのは穏やかに、しかしどこか元気な声だった。

「おう、今帰ったぞ!」

 次に聞こえてきたのは、豪快にそして大きな声だった。

 キッチンにいる女性はサンドイッチが置かれた皿をリビングのテーブルに置き、微笑みながらパタパタと早歩きで玄関に向かった。

「おかえりなさ~い。どう?どれだけ収穫できた?」

 

 玄関から美しい女性が迎えた。髪は長く、後ろで結んでいる。顔は少しだけ焼けており、白色の目を持っている。

 白のコットを着ており、細帯で腰回りを縛っている。


「それがね、ママ。」


タンタは、一息入れた後答えた。


「今年も、豊作だよ!」

 タンタは満面の笑みで答えた。その顔は、嘘を言っていない純粋な笑みを浮かべていた。

「そう。それなら良かったわ。去年の秋、皆で植えたものね。」

「うん!」

「けど、今年は例年以上の豊作だ。結構言い値で売れるかもしれないな。」

 男が答える。

「あら、これも英雄レヴェッカ様のおかげですね。」

「ああ、だな」


 そんなことを二人が話しているとふいに音が聞こえた。


(ぐぅ~~)


 二人が音の聞こえた方を向くと、タンタがいた。タンタの日焼けた顔はほんのり赤く染まっており、手でお腹を押さえて、うつむいていた。

 その様子に女性は微笑み、男性は豪快に笑った。

「ん~~~~」

「ふふ、ごめんなさいタンタ。机の上にサンドイッチが置かれているから、それを食べていいわよ。」

 「!!はーい!」

 元気よく返事したタンタはそのまま、キッチンの方へと向かった。


 ここは『レヴェッシュ大陸』。かつて、2人の英雄によって建国された大陸。そんな大陸には7つの首都が存在する。

 ここは『首都トルム』。作物が良く育ち、風と共に大陸に存在する各首都へと運ばれる。

ここは首都トルムの加護下にある町『イニジオン』。今日も平和でのどかな風が町に吹いている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Story of Revish zeroデイズ @zerokurokanae

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ