第6話 使命

女神は言う。

「この世界はあなたも知っている通り小説とは異なる未来を辿っています。そしてその原因は―」

リリアは答える。

「私……ですか?」

「いえ。違います。」

女神のその声にリリアはホッとする。

「その原因について、私達は何もわかっていません。」

「え?わかってないって?」

「はい。ある日、この世界に不正に侵入したものがいてそのものだと思いますが、依然としてそのものの素性について何もわからないのです。」

リリアが『なるほど。』と思っていると頭に疑問が浮かんだ。

「では、何故私が呼ばれたのですか?」

その言葉を聞くと女神の声が詰まっていた。

「実は………アカネさんに命の危機が迫っていて………」

それを聞くと女神像に拳を向けると怒りに満ちた声で

「どういうことだ。説明しろ!」

と怒鳴ってしまった。

「順を追って説明します。」

女神曰く、不正に侵入した犯罪者集団の構成員と思われる人が「王子を排除する。」と言っていたらしく、女神がその力で未来を視たところ、最悪の未来で王子の殺害をアカネが目撃したせいでアカネも殺されるという結果が出た。『未来の聖者』であるアカネを救う為、リリアを呼んだということらしい。

「で?どうして私何ですか?」

「それは犯罪者集団に対抗し得るレベルの生徒がリリアぐらいしかいなかったから、というのとあなたは、猛烈な魔力への才能があり、護衛対象アカネへの脅威的な憧憬を持っているということが最低条件だからです。現にあなたは5日ほどでリリアの戦い方をマスターしていましたし。」

リリアは褒められ、嬉しそうだった。

「ではこれで。言って起きますがここでの話は口にしないでください。」

そう言って女神は何処かに消えた。

自分の部屋に戻ったリリアは疲れていた。

(まさかアカネが何者かに狙われているとはな。)

そんなことを考えているとリリアは眠くなり、寝てしまった。

一方その頃何処かである男が怒っていた。

「どういうことだ!!王子を暗殺できなかっただと!!」

「申し訳ございません。」

話していた人が謝る。

「わかっているのか。我らの願いの為に殺害は必要不可欠なのだ。」

その声には激しい怒りが乗っていた。

「ですが、どうやらあの場に娘がいたらしく……。」

「その娘の名は?」

「リリアというらしい。」

「そうか。下がれ。」

男の配下が下がる。

男がつぶやく。

「リリアか。あいつは原作だとアカネをいじめる存在のはずだった。」

少しの時間が経ち、男が

「そうか。こいつも俺と同じか。我々の邪魔になるなら殺してやる。」

と不敵に笑う。






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悪役令嬢に転生したので推しの主人公を助けます チョコミント @mod8

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