【少し怖い話】ラジオ

とろり。

1話完結 ラジオ



「これは僕が浪人生の時の話なんですが……」


「友達に勧められてラジオを買ったんです」


「勉強の時聞きながすだけでも楽しいし、災害の時には役に立つからって」


「ラジオを買ってから特にニュース番組を聞くようになって」


「けっこう本格的なニュース番組です」


「それで、女子大学生の自殺のニュースを取り上げるんですね、連日」


「他に電波を合わせてもそのニュースばかりなんです」


「その女子大学生は田舎の育ちの良いお嬢様だったらしく、東京で一人暮らしをしていたそうです」


「しかし何があったか分かりませんが、アパートで首を吊っていたんだそうです」


「そればかりが頭に強く残っていました……」






「それからしばらく後の話になるんですが……」


「僕は東京の大学に無事に合格してアパートを探していました」


「安い物件を探していたんです」


「そして内見を終えたんですが、安い物件がなかなか……」


「帰り際に『これは事故物件ですが……』と提案されたんですね」


「僕は安いからいいや、と良く考えずにそこでお願いをしちゃったんです」


「引っ越しまでスムーズにいって何もかも順調でした」


「深夜、浪人生の時にはまってずっと聞き続けているラジオの電源を入れたんですが、なかなか繋がらないんです」


「窓を開けても繋がらない状態で……」


「ですが……ラジオからなのか聞こえてくるんです」


――タ―ス――ケ、テ


「女性の声で何度も」


「僕は怖くなってラジオを床に投げつけてしまったんです」


「当然ラジオは壊れているんですが、」


「まだ聞こえてくるんです……」


――タ―ス――ケ、テ



おわり



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